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国内の需給動向【鶏肉】 畜産の情報 2019年3月号

30年12月の鶏肉出回り量、過去2番目の高水準

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鶏 肉


 平成30年12月の鶏肉需給を見ると、生産量は14万7252トン(前年同月比1.7%減)と前年同月をわずかに下回った。輸入量は、米国やタイ産が前年同月を大幅に下回った一方、30年秋以降ブラジルの対日輸出価格が例年に比べ低かったことでブラジル産が3万5550トン(同8.5%増)と前年同月をかなりの程度増加したことから、全体では4万7005トン(同1.1%増)と前年同月をわずかに上回った。推定出回り量は20万1048トン(同2.9%減)と29年12月に次ぐ過去2番目の高水準で推移した結果、推定期末在庫は前月から6791トンを取り崩し、15万9383トン(同4.9%減)となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。


輸入量(鶏肉調製品を含む)、過去最高

 平成30年(1〜12月)の鶏肉輸入量は、56万330トン(前年比1.6%減)と前年をやや下回った。25年12月のタイ産の輸入解禁に伴い、鶏肉輸入量は増加傾向で推移している。29年は日本国内の底堅い需要を背景に56万9466トンと過去最高となったが、それに続く数量となった。
 国別に見ると、例年約7割を占めるブラジル産については、30年初夏に現地で発生したストライキの影響により、40万1863トン(同11.3%減)となった。また、高い加工能力から業務筋の評価が高いタイ産は13万9036トン(同9.2%増)と前年をかなりの程度上回った。
 また、鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、サラダチキン、フライドチキンなど)の輸入量を見ると、コンビニエンスストアのホットスナックや、弁当、惣菜など鶏肉調製品を用いた商品が増えていることから、増加傾向で推移している。特に30年は好調なサラダチキン市場を背景に51万3694トン(同5.5%増)と前年をやや上回り、過去最高を記録した。国別に見ると、タイ産は30万2967トン(同3.2%増)と前年をやや上回り、初の30万トン台となり、全輸入量に占める割合は59%となった。また、中国産は20万6746トン(同9.0%増)と前年をかなりの程度上回り、全輸入量に占める割合は40%と前年並みとなった。
 この結果、鶏肉および鶏肉調製品の輸入量は合計で107万4024トンとなり、過去最高となった。


30年の鶏肉輸出量、正肉が増加

 鶏肉の輸出量および輸出金額の推移を見ると、平成23年の東日本大震災や、度重なる鳥インフルエンザ発生に伴う輸出停止などの影響を受け、近年は伸び悩んでいるものの、長期的には増加傾向で推移している。30年は、輸出金額が19億7994万円(前年比0.2%増)、輸出量が9656トン(同13.5%減)となった。輸出品目としては、日本国内では需要の少ないもみじ(鶏足)が主流であるが、30年は正肉(もも肉とむね肉)の輸出量が合計で191トン(同25.7%増)と前年を大幅に上回った。
 輸出量を国別にみると、29年には約半数を占めていたカンボジア向けが30年に入り減少した一方、香港向けとベトナム向けがそれぞれ拡大した(図6)。
 
図6 鶏肉の輸出量・輸出金額の推移
 
 
(畜産需給部 岩井 椿)