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国内の需給動向【鶏卵】 畜産の情報 2019年3月号

鶏卵の輸出量・金額ともに5割増

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鶏 卵


 近年、鶏卵(ふ化用除く)の輸入量は、国内消費量の5%前後で安定的に推移しており、そのうち保存性や輸送コストなどに優れる加工原料用の粉卵が輸入量全体の約9割を占めている。
平成30年の輸入量(殻付き換算ベース)は、日本国内での加工原料用卵への安定した需要を背景に、11万3922トン(前年比2.0%増)と前年をわずかに上回った(図9)。

 
図9 鶏卵の品目別輸入量の推移
 

 粉卵輸入量の8割を占める卵白粉は、ハムやソーセージのつなぎ原料などに用いられており、8万2807トン(同0.1%減)と前年並みとなった。主要な輸入先国は、イタリア(シェア26%)、オランダ(同24%)、インド(同11%)、米国(同11%)となっており、EU加盟国からの輸入が6割以上を占めた。また、粉卵輸入量の残り2割弱を占める全卵粉、卵黄粉などは、主に製菓・製パン用などに使われており、国別でみると米国産が7割を占めた。


食用殻付き鶏卵、アジア向け輸出が好調

 鶏卵(殻付き卵)の輸出量および輸出金額の推移を見ると、平成23年は東日本大震災などの影響を受けて減少したものの、24年以降は増加傾向で推移している。
 30年の輸出金額は15億2873万円(前年比49.4%増)、輸出量は5866トン(同50.8%増)といずれも前年を大幅に上回った。その結果、31年の輸出目標(26億円、1万トン相当)の達成率は、輸出金額および輸出量ともに6割となった(図10)。
 なお、輸送距離や輸出先国の衛生条件などの制約から、輸出先は香港をはじめとするアジア向けが大半を占めている。

 
図10 鶏卵(殻付き卵)輸出量・輸出金額の推移
 

成鶏更新・空舎延長事業発動

 平成31年1月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)を見ると、需要を上回る供給が続いた結果、前月比59円安の1キログラム当たり121円(前年同月比38円安)となった。こうした中、標準取引価格(注)(日毎)が同142円となり安定基準価格(同163円)を下回ったことから、一般社団法人日本養鶏協会は、本年度2回目となる、鶏卵生産者経営安定対策事業の一つである成鶏更新・空舎延長事業を31年2月1日付けで発動すると発表した。
 同事業は、当該日の標準取引価格が安定基準価格を下回った30日前から安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して、奨励金を交付するものである。

注:標準取引価格とは、東京および大阪のSS〜LLサイズ(6規格)の加重平均価格。

(畜産需給部 岩井 椿)