飼養頭数の増加を背景にと畜頭数は増加
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年12月20日に公表した「Livestock Slaughter」によると、11月の牛と畜頭数(連邦検査ベース)は、前年同月比1.3%増の276万2000頭となった(図1)。また、2018年1〜11月のと畜頭数は、3月と9月を除いて前年同月を上回って推移したことから、前年同期比2.8%増の2997万4000頭となった。このうち去勢牛が同0.7%減少したものの、未経産牛および肉用経産牛がそれぞれ同6.8%増、同9.3%増とかなり増加した。と畜頭数の増加要因として、飼養頭数の増加に伴い繁殖農家による自家保留が減少したことが挙げられる。
1月4週目までの牛肉生産量は前年同期比0.7%増
USDA/NASSの「Livestock Slaughter」によると、2018年11月の牛肉生産量(連邦検査ベース)は、前年同月比1.0%増の103万8000トンとなった。1〜11月の牛肉生産量は、枝肉重量が横ばいで推移する中、と畜頭数が増加したことにより前年同期比3.0%増の1108万8000トンとやや前年を上回った。
また、米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、1月第1〜4週目の牛肉生産量は、前年同期比0.7%増の89万5000トンとほぼ前年並みとなった。第1週目(5日までの1週間)が同5.4%減少したものの、第2〜4週目で前年同期を上回った(図2)。
卸売価格は12月以降も前年同期を上回る
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年11月の牛肉卸売価格は、前年同月比2.8%高の100ポンド当たり215.00米ドル(1キログラム当たり521円:1米ドル=110円)となった(図3)。卸売価格は、堅調な需要を反映して4カ月連続で上回って推移している。
USDA/AMSが毎週公表している「Market News」によると、カットアウトバリュー
(注)(チョイス級)は12月以降も前年を上回って推移しており、12月最終週(28日までの1週間)は、前年同期比6.6%高の同212.35米ドル(515円)となった。部位ごとに見ると、ラウンド(もも)が同0.7%高、チャック(かた)が同3.4%高、リブ(ロイン)が同13.0%高、ショートプレート(バラ)が同20.3%高とそれぞれ前年を上回った。卸売価格は前年を上回って推移しているものの、クリスマスや年末年始のホリデーシーズンに思いのほか上昇しなかったとする関係者もおり、特にチャックやラウンドの価格上昇幅が小さく、カットアウトバリューの上昇を抑制したとみられている。
(注) 各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
(調査情報部 渡辺 陽介)