豚肉生産量は前年比9.5%増
チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2018年の豚肉生産量は、前年比9.5%増の53万5378トンとなった(図8)。同国では、2012年に、環境問題によって国内最大の養豚生産企業であるアグロスーパー社の母豚15万頭規模の農場が閉鎖に追い込まれて以降、生産量は減少傾向で推移していた。しかし、同社をはじめとした各社が、事件以降、繁殖成績や飼料要求率の向上に注力したことに加え、大手企業が導入している種豚の遺伝的改良が進んだことなどから、2018年の生産量は増加に転じることとなった。
輸出は大幅増、ロシア向けがけん引
2018年の豚肉輸出量は、前年比16.3%増の14万8211トン(製品重量ベース)と、過去最高の輸出量となった(表3)。
国別に見ると、ロシアが、主要輸入元であったブラジルからの輸入を、衛生上の問題により2017年12月〜18年10月まで停止したことから、チリ産豚肉の引き合いが強まり、同国向けが同113.6%増と記録的な増加となった。
また、最大の輸出先である中国向けは、米中貿易紛争を受け、同国が南米からの輸入を拡大させたことから、同4.7%増となった。
第2位の韓国向けは、前年の同国内の相場高(主にバラ)が一段落したことから、輸出単価は同7.6%減とかなりの程度減少したものの、国内の旺盛な需要を受け、輸出量は同21.0%増となった。
輸入量は横ばいで推移
2018年の豚肉輸入量は、前年比1.0%増の7万2349トン(製品重量ベース)と、横ばいで推移した(表4)。国別に見ると、ブラジルが、前述の通り、同国にとって最大の輸出先であったロシアに輸出できなくなったことから、価格が下がり、チリ側の購買意欲が高まったことから、同45.8%増となっている。
現地関係者によると、ブラジル産などの安価な輸入品を内需、特に加工品へ仕向け、自国産の高級部位を積極的に輸出に仕向けて行くという動きが進んでいるとされていることから、今後も輸入量は堅調に推移していくことが見込まれている。
(調査情報部 佐藤 宏樹)