畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 生乳生産量は8カ月連続で増加も、伸び率は鈍化

海外の需給動向【牛乳乳製品/NZ】  畜産の情報 2019年3月号

生乳生産量は8カ月連続で増加も、伸び率は鈍化

印刷ページ
11月の生乳生産量は、前年同月比1.0%増

 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2018年11月の生乳生産量は、299万5000トン(前年同月比1.0%増)と8カ月連続で前年同月を上回ったものの、これまでの高い伸び率と比較すると鈍化した(図21)。2018/19年度(6月~翌5月)の11月までの6カ月間の累計では1081万9000トン(前年同期比4.4%増)と好調に推移している。これは、隣国の豪州と異なり春季に適度な降雨に恵まれ、牧草の生育状況が良好であったためである。
 
図21 生乳生産量の推移
 
 
11月の乳製品輸出量、脱脂粉乳は7カ月ぶりに増加

 ニュージーランド統計局(NZ統計局)によると、2018年11月の乳製品主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表13、図22)。
 脱脂粉乳については、これまで国際需給が緩和基調であったことから減少傾向で推移してきたが、11月は前年同月比6.1%増と7カ月ぶりに増加に転じた。
 一方、全粉乳およびバター類については、中国向け輸出が減少したことから、それぞれ同9.0%減および同11.6%減となった。チーズについても、同1.6%減とわずかに減少した。
 この結果、2018/19年度の6〜11月の主要4品目の累計は、すべて減少となり、乳製品の国際需給を反映するものとなった。

 
表13 乳製品輸出量


図22 乳製品輸出量の推移

 
2018年6月時点の乳牛飼養頭数は前年同期比1.4%減

 NZ統計局が1月17日に公表した統計資料によれば、2018年6月時点の乳牛飼養頭数は、前年同期比1.4%減の643万8000頭と、わずかに減少した(図23)。乳牛飼養頭数は、2000年以降、乳製品の輸出需要の増大に伴い酪農の経営環境が良好であったことから増加傾向で推移してきたが、2014年の669万8000頭をピークにわずかに減少している。

 
図23 乳牛飼養頭数および肉牛飼養頭数の推移 


 一方、肉牛飼養頭数は、2000年以降、相対的に肉牛経営よりも酪農経営の方が、収益性が良好であったため、肉牛から酪農に経営転換するケースもあったことから、減少傾向で推移してきた。しかしながら、2018年6月時点では前年同期比5.0%増の379万6000頭と2年連続で増加しており、最近の牛肉の輸出需要の好調を反映したものとなっている。
 なお、ニュージーランドでは、2017年以降、一部の農場において、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma Bovis)に感染した牛が確認されたことから、政府は感染根絶を図るために、これまでに感染が確認された農場のすべての牛を殺処分してきたが、2019年1月時点の乳牛の殺処分頭数は約5万2000頭に達したと報告している。


乳製品国際価格、昨年11月を底に上昇基調

 2019年1月15日に開催された、乳製品の国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表14、図24)。主要4品目では、前回開催(1月2日)時より、いずれの品目でも値を上げており、乳製品の国際価格は、昨年11月を底に上昇に転じている。
 
 表14 GDT乳製品価格


図24 GDTの乳製品価格の推移


 脱脂粉乳の価格は、前回比9.3%高のトン当たり2405米ドル(26万5000円)と、これまで2000米ドル前後の安値で推移してきたが、上昇基調を強めている。これは、EUでの公的在庫の売渡入札が好調な結果となり、在庫解消の目途が立ったことから、脱脂粉乳の国際需給が好転していくとみられているためである。
 全粉乳は、輸入国からの引き合いが弱まったことから値を下げてきたが、前回比2.7%高の同2777米ドル(30万5000円)と、上昇に転じている。
 バターは、主要生産国の供給増などにより急速に値を下げてきたが、昨年11月を底に上昇に転じ、前回比4.6%高の同4262米ドル(46万9000円)と続伸した。なお、高値であった前年同月の水準と比べると、13.0%安となっている。
 チーズも、昨年11月を底に上昇に転じており、前回比3.9%高の同3504米ドル(38万5000円)となった。

 
(調査情報部 石橋 隆)