畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 牛枝肉格付割合、和牛去勢A−5が初の4割超え

国内の畜産物の需給動向【牛肉】  畜産の情報 2019年4月号

牛枝肉格付割合、和牛去勢A−5が初の4割超え

印刷ページ
牛肉
 
 平成31年1月の牛肉需給を見ると、生産量は2万4868トン(前年同月比0.8%減)と前年同月をわずかに下回った。品種別では、和牛が1万574トン(同1.3%増)と前年同月をわずかに上回った一方で、交雑種は6605トン(同2.6%減)、乳用種も7419トン(同2.5%減)とともに前年同月をわずかに下回った。
 輸入量は、冷蔵品が1万9660トン(同6.1%増)と前年同月をかなりの程度上回った。また、冷凍品は関税の緊急措置の解除に向けた通関保留などにより、前年同月の輸入量が少なかったこともあり、3万883トン(同80.9%増)と前年同月を大幅に上回ったことから、全体でも5万565トン(同41.8%増)となった。
 推定出回り量は、前年同月をかなり大きく上回る7万2814トン(同12.0%増)となり、推定期末在庫は前月から2362トン積み増して、12万2130トン(同14.4%増)と前年同月をかなり大きく上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。


牛枝肉格付、上位等級割合増加

 公益社団法人日本食肉格付協会は、平成31年1月23日、「平成30年1月〜12月牛枝肉格付結果(種別・性別)」を公表した。これによると、牛枝肉の総格付頭数は、全国的な出荷頭数の増加を反映し、90万1011頭(前年比1.4%増)と前年をわずかに上回った。また、成牛のと畜頭数(105万1709頭)に対する格付割合は、85.7%(同0.2ポイント増)とわずかな増加となった。
 格付結果のうち、和牛去勢の歩留等級別割合を見ると、「A」が93.5%と前年から0.1ポイント増加した一方、「B」は6.1%と0.2ポイント減少し、「C」は前年同の0.3%となった。
 また、和牛去勢の格付構成割合は、「A−5」が40.5%、「A−4」が37.9%、「A−3」が13.0%、「A−2」が2.1%と、「A−4」以上の上位等級の割合が増加した(図1)。中でも「A−5」は、前年から2.8ポイント増え、7年連続の増加となり、初めて格付構成割合の40%を超えた。肥育農家において、能力の高い系統の人気が高まっていることのほか、もと牛価格の高騰など生産コストが上昇する中、手取りを増やすため枝肉単価の高い上位等級を目指していることなどが背景にあるものとみられる。






和牛の卸売価格、堅調に推移

 近年、高止まりが続いている和牛の卸売価格は、年明け以降も強含みの展開となっている。平成31年2月の和牛去勢の牛枝肉卸売価格(東京市場、速報値)を見ると、A−5は1キログラム当たり2806円(前年同月比2.4%高)、A−4が同2503円(同4.2%高)、A−3が同2303円(同9.3%高)、A−2が同2060円(同12.9%高)といずれも前年同月を上回った(図2)。
 





 関係者によると、和牛の卸売価格はインバウンド需要など外食が堅調に推移する中、上位等級を中心に堅調に推移しているものとみられる。また、和牛のうち、量販店で取扱が多い下位等級の格付割合が減少していることから、相場が上昇しているものと思われる。

 
(畜産需給部 小林 智也)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-4398  Fax:03-3584-1246