畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 豚部分肉価格、枝肉相場安で軟調傾向

国内の畜産物の需給動向【豚肉】  畜産の情報 2019年4月号

豚部分肉価格、枝肉相場安で軟調傾向

印刷ページ
豚肉

 平成31年1月の豚肉需給を見ると、生産量は7万9477トン(前年同月比2.5%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量は6万1703トン(同16.9%減)と前年同月を大幅に下回った。輸入量のうち主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、3万1439トン(同2.3%減)と前年同月をわずかに下回った。また、主に加工・業務用に仕向けられる冷凍品は、2月に発効した日欧EPA協定の発効を目前に一部のEU産の通関が保留されたことなどから、前年同月を大幅に下回る3万264トン(同28.1%減)となった。推定出回り量は13万7627トン(同5.6%減)と前年同月をやや下回り、推定期末在庫は前月から3528トン積み増し、16万3889トン(同7.3%減)となった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。



鍋需要でばらがロースを上回って推移

 また、国産豚肉の部分肉相場(冷蔵品)のうち、ロース、かたロース、ばらの推移を見ると、いずれも豚枝肉卸売価格に連動して推移しており、年間平均では、高級部位とされるロースの価格が最も高く、次いでかたロース、ばらの順に高い。また、例年の季節変動を見ると、ロースは、主に焼き材として需要が高いことから、年間を通じて堅調に推移している。一方、ばらは、主に鍋用のスライス材として需要が高いことから、他の部位に比べて夏場に伸び悩むものの、冬場に上昇する傾向がみられる。かたロースは、焼き材やスライス材に加え、挽き材(ミンチ)などにも適し、さまざまな豚肉料理で広く利用されていることから、冬場に上昇する一方で、夏場も堅調に推移している(図3)。

 


 今冬は、相場安の豚枝肉卸売価格を反映し、部分肉相場は全体的に軟調傾向で推移した。一方、西日本を中心に全国的に暖冬であったものの、鍋などの季節需要の大きな減退は見られず、ばら、かたロースなどのスライス材は例年通り、他の部位と比べ高めに推移した。
 今後については、気象庁によると、今年は梅雨時から夏場にかけて、気温が平年並みと見込まれているが、降水量は平年並みか平年より多いと見込まれていることから、場合によっては外食需要の減退なども考えられ、今後の相場展開が注視される。



豚枝肉等級別割合、「上」が10年間で微増

 公益社団法人日本食肉格付協会「豚枝肉格付結果」(注)によると、平成30年の等級別割合は、「極上」が0.2%(前年並み)、「上」が48.9%(前年比0.5ポイント減)と約半数を占めており、「中」が33.9%(同0.4ポイント増)、「並」が12.6%(同0.1ポイント増)、「等外」が4.4%(同0.1ポイント減)となった。過去10年間の推移を見ると、牛枝肉ほどの変化は見られないものの、「上」の割合はわずかながら増加、「並」や「等外」は減少している(図4)。

 


 等級別卸売価格の推移を見ると、いずれの等級も同様の傾向で推移している。頭数が少ない「極上」や、廃用となった繁殖豚を含む「等外」は、他の等級と比べて価格差が大きく、「上」、「中」、「並」は比較的価格差が小さい。30年は、前年に比べて各等級とも平均価格が低下しており、「上」と「中」の価格差は4年連続で拡大した(図5)。

 

注:豚枝肉は、枝肉の重量および背脂肪の厚さ、外観、肉質を基準に照らし、「極上」、「上」、「中」、「並」、「等外」の5等級のいずれかに格付される。

 
(畜産需給部 河村 侑紀)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-4398  Fax:03-3584-1246