フィードロット導入頭数は低調に推移
2018年の秋から冬にかけて極端に多い降水量に見舞われた中西部をはじめとする一部の地域ではフィードロットに泥が蓄積し、飼養環境が悪化した。このため肥育業者は肥育もと牛の導入に消極的になったとみられ、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2月22日に公表した「Cattle on Feed」によれば、2018年12月のフィードロット導入頭数は前年同月比1.8%減の176万7000頭となり、4カ月連続で前年同月を下回った(図1)。
一方で、天候不順は枝肉重量にも影響を及ぼしており、米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると12月の去勢牛の枝肉重量は前年を下回って推移した。1月には厳しい寒波もみられたため、業界紙の中には、2019年の第1四半期(1〜3月)も引き続き枝肉重量が前年を下回って推移するとの見方もあった。
肉用繁殖後継牛は前年比3.0%減
USDA/NASSが2019年2月28日に公表した「Cattle」によると、1月1日時点の牛総飼養頭数は前年を0.5%上回る9476万頭とされ、2015年以降5年連続で増加した(表1)。
種類別にみると、肉用繁殖雌牛(経産牛)は前年比1.0%増の3176万6000頭となった。ただし、2016年は前年比2.6%増、2017年は同3.5%増と比較的大きな増加幅で推移していたことと比べると、本年は小幅な増加率に留まった。今後の肉用牛生産基盤を担う肉用繁殖後継牛については、生産者が繁殖雌牛の保留に消極的になっていることから、同3.0%減の592万5000頭となった。
業界紙などでは、肉用経産牛飼養頭数が来年までに減少に転じる可能性も指摘されており、現状のキャトルサイクルにおける牛群拡大傾向は、ほぼ完了したとする見方もあった。
一方、「Cattle」レポートでは、2018年に生産された子牛の頭数が前年比1.8%増の3640万2700頭と公表された(図2)。これは大方の予想を上回る高水準であり、業界紙の中には、少なくとも2021年まで、肥育業者やパッカーは引き続き堅調な生体牛供給に恵まれるとする見方もあった。
メキシコ産肥育もと牛の輸入が増加
USDA/AMSによれば、メキシコ産肥育もと牛の輸入頭数は堅調に推移しており、第8週目までの合計は前年同期を18.3%上回る19万2351頭となった(図3)。
牛飼養頭数が増加しているメキシコからテキサス州やニューメキシコ州などのフィードロットに仕向けられる肥育もと牛は増加傾向にある。メキシコペソに対し米ドル高で推移する為替相場もこの傾向を支えており、特に米国南部のフィードロットにとっては、メキシコ産肥育もと牛を安価に調達できる環境が整えられている。
2018年のメキシコ産肥育もと牛輸入頭数は前年をかなり上回る水準であったが、メキシコで牛群の拡大傾向が継続する見通しを考慮すると、2019年も米国のメキシコ産肥育もと牛輸入頭数は堅調に推移する可能性がある。
(調査情報部 野田 圭介)