2018年の豚肉生産量は前年比2.9%増
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2019年2月27日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2018年の豚肉生産量は前年比2.9%増の1193万6000トンとなり、2015年以降4年連続で前年を上回って推移した(図7)。
また、同局が3月4日に公表した同レポートの最新版によると、2019年1月の豚肉生産量は前年同月比3.6%増の107万7000トンとなり、同月の豚肉生産量の過去最多記録を更新した。また、米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、豚肉生産量は2月に入っても前年同期を上回って推移している(図8)。USDAは今後も増産傾向は継続するとして、2019年の豚肉生産量を1240万1000トン(前年比3.9%増)と見込んでいる。
価格は前年同期を大幅に下回る
豚肉の供給量に過剰感が漂っていることから、肥育豚価格および豚肉卸売価格は前年同期を大幅に下回る水準で推移している。米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2019年2月の肥育豚価格(速報値)は、前年同月比24.3%安の100ポンド当たり39.00米ドル(1キログラム当たり96円:1米ドル=112円)となった(図9)。また、豚肉卸売価格(カットアウトバリュー
(注)、速報値)は、同19.1%安の100ポンド当たり63.25米ドル(1キログラム当たり156円)となった。
(注) 各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
メキシコ市場でカナダ産との競合が激化
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が2019年2月6日に更新した農畜産物貿易統計によると、最大豚肉輸出先であるメキシコに対する冷蔵豚肉輸出量は、2018年11月は前年同月比10.5%減の4万4211トンとなり、同年(1〜11月)は51万5939トン(前年同期比3.9%増)となった(図10)。
USDAは、米国のメキシコ向け冷蔵豚肉輸出量が最近になって低調に推移するようになったことの一因として、米国と違い報復関税措置を受けていないカナダ産豚肉の存在感がメキシコで増していることを指摘している。2018年のメキシコの輸入先別冷蔵豚肉輸入量をみても、カナダ産は前年比38.4%増と大幅に増加しており、冷蔵豚肉輸入市場におけるシェアを拡大させていることが分かる(表4)。
(調査情報部 野田 圭介)