11月の豚肉生産量は、前年同月比2.2%増
欧州委員会によると、2018年11月の豚肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比2.2%増の209万9990トンとなった(図11)。と畜頭数は、2273万頭(前年同月比2.4%増)、1頭当たり枝肉重量は92.4キログラム(同0.2%減)となった。
11月の主要生産国の豚肉生産量を見ると、デンマーク、ドイツ、ポーランド、スペインでは増産となった一方、イタリア、フランス、オランダでは減産となった。
また、同年1〜11月の豚肉生産量の合計は、2193万8480トン(前年同期比2.7%増)となった。
2018年の豚肉輸出量は、前年比2.2%増
欧州委員会によると、2018年の豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量は、豚肉生産量の増加などを背景に、前年比2.2%増の213万9973トンとなった(表5)。2月および4〜11月は前年同月を上回って推移するなど、年間を通して増加傾向にあった。
主な輸出先を国別に見ると、輸出先第1位の中国および第6位の香港を除いていずれも増加した。最も増加率が大きかったのは、韓国向け(前年比24.9%増)、次いでフィリピン向け(同11.9%増)と米国向け(同11.6%増)であった。なお、輸出先第2位の日本向けは、同4.2%増の34万5380トンであった。
主な輸出国を国別に見ると、デンマークおよびフランスを除き、いずれも増加した(表6)。第1位のスペインは57万3243トン(前年比7.6%増)、第2位のドイツは44万9789トン(同8.0%増)となり、2カ国の合計は、EUの輸出量全体の約半数を占めている。
なお、第1位のスペインは、養豚産業を基幹かつ成長産業とし、投資やインテグレーションなどが進展している。生産基盤の拡大とともに豚肉処理場での加工技術なども向上しており、世界各地への輸出を拡大している。2018年の同国のEUの輸出量に占めるシェアは27%(前年から2ポイント上昇)となり、年々シェアが拡大している。
また、ベルギー(同27.9%減)およびハンガリー(同61.3%減)で減少が大きいのは、ともに2018年にアフリカ豚コレラの発生があったことによるものと考えられる(ベルギー:9月発生、ハンガリー:4月発生)。
スペインの飼養頭数は前年比3.9%増
欧州連合(EU)の統計局(Eurostat)が公表した、2018年12月時点の豚飼養頭数によると、EU28カ国の総飼養頭数は、1億4877万頭(前年比1.0%減)となった(表7)。
内訳を見ると、肥育豚(50キログラム以上)は6120万頭(同0.6%増)と前年を上回ったものの、繁殖母豚は1181万頭(同3.0%減)、子豚(20〜50キログラム)は3382万頭(同2.2%減)と前年を下回った。EUの豚枝肉卸売価格は、2017年9月以降、前年同月を下回る水準で推移しており、同価格の低迷がEU各国での飼養頭数の減少の主な要因の一つとなっている。
EU最大の飼養頭数を誇るスペインの総飼養頭数は、3115万頭(前年比3.9%増)となった。飼養頭数がドイツを抜いた2015年以降、1位を維持しており、6年連続での増加となった。なお、肥育豚頭数をみると、EU最大の豚肉生産国であるドイツを100万頭以上上回る1303万頭(同8%増)となっている。
第2位のドイツの総飼養頭数は2644万頭(同4.1%減)、第3位のフランスは1371万頭(同2.7%増)、第4位のデンマークは1264万頭(同1.5%減)となった。
(調査情報部 前田 絵梨)