下半期は増加も、ストライキによる減少分をカバーできず
ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2018年の冷蔵・冷凍鶏肉輸出量は、前年比3.1%減の382万2701トン(製品重量ベース)となった(表8)。下半期のみでみると、前年同期と比較して4.1%増となったものの、5月末に発生したトラック運転手によるストライキの影響で、輸送が滞った結果、6月の輸出量が前年同月比35.9%減の22万223トンにとどまった影響が大きかった。
国別に見ると、サウジアラビア向けが、新たなハラル認証制度の影響で一部パッカーからの輸出が制限されたことから、前年比17.4%減と前年を大幅に下回った。また、日本向けも、日本国内の在庫高や相場安の影響などにより、同10.9%減となった。一方、中国向けは、同国の旺盛な需要を背景に同12.2%増と前年をかなり大きく上回った。
サウジアラビア向けの輸出減を懸念
ブラジル農牧食糧供給省(MAPA)は1月22日、サウジアラビア政府から、現時点でサウジアラビア側が改めて認定した輸出施設リスト(25施設)を受け取ったと発表した。これまでは58施設が輸出認定を受けていたことから、33施設がリストから除外されることとなった。MAPAによると、輸出施設として認められた25施設は、2018年におけるサウジアラビア向け輸出量全体の63%を占めたとしている。
これを受け、ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)のプレスリリースによると、今回除外された33施設のうち、サウジアラビアへ積極的に輸出を行っていたのは5施設であるとしている。また、今回の除外は技術的な問題に起因しており、除外対象となった輸出施設は現在是正に向けて動いていることから、いずれ全ての施設が再度認定されるだろうと期待を示したものの、今後の輸出減について、関係者からは懸念の声も聞かれている。
メキシコ向け輸出が増加
2015年以降、メキシコ向けの輸出量が急激に増加している。2018年11月には、メキシコ向け鶏肉輸出認定施設が26カ所追加され、これにより、メキシコ向け鶏肉輸出認定施設は20カ所から46カ所と大幅に増加することとなった。2018年の輸出量は、前年比17.7%増の11万1318トンとなった(図12)。2019年1月も、前年同月比29.5%増と好スタートを切っており、今後のさらなる輸出拡大が期待されている。
2019年は国内需要がけん引
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が2月13日に公表した「GAIN REPORT」によると、2019年のブラジルの鶏肉生産量は、経済の回復に伴う国内消費量の増加を背景に、国内需要が上向くことが予想されることから、前年比1.8%増の1360万トンと見込まれている。一方、生産コストについては、昨年12月頃に発生した主要穀物生産地での干ばつの影響で、飼料原料の生産量が下方修正されたことから、上昇が懸念されている。
(調査情報部 佐藤 宏樹)