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冷凍鶏肉と冷凍加塩鶏肉の輸出が好調
2018年の鶏肉調製品、冷凍鶏肉、冷凍加塩鶏肉の輸出量はいずれも増加した(表9)。
鶏肉調製品は、前年比で5.2%増の56万トンであった。冷凍鶏肉は、同21%増の26万5000トンとなり、特に増加率が大きい。冷凍加塩鶏肉は、2017年3月のブラジル食肉不正問題(注1)やその後、ブラジル産鶏肉等からサルモネラ菌が検出されたことなどによってEU向け輸出施設が認定を取り消されたこと(注2)による代替需要によって同42.6%増の10万トンと大幅に増加した。
注1 本誌2018年1月号P103を参照されたい。
注2 海外情報「EUがブラジルの食鳥処理工場20カ所からの輸入を禁止へ」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002208.html)
鶏肉調製品の輸出量を輸出先国別に見ると、英国向けの増加が最も大きく、前年比2万トン(14.5%)増の15.8万トンであった(表10)。タイは鶏肉調製品について、EUの低関税輸入枠を持っており、英国のEU離脱時に、この枠がどのような扱いを受けるのか注目されている。
2018年の冷凍鶏肉の輸出量を輸出先国別に見ると、最も増えたのは中国(2.1万トン)であった(表11)。中国は、2018年3月にタイからの冷凍鶏肉の輸入を解禁しており、タイに近い南部地域向けに輸出されていると言われる。輸出されているのは、ほとんどが手羽ともみじ(鶏足)である。
生産、国内消費も好調の見通し
タイ農業・協同組合省は、鶏肉や鶏肉調製品の生産量や価格などについて、2018年12月に2019年の見通しを公表した(表12、表13)。これによると、2019年の鶏肉生産量は前年比3.6%増の240万トン、国内消費量は同3.6%増の155万トン、輸出量は、冷凍鶏肉が同7.1%増の30万トン、鶏肉調製品が同1.9%増の55万トンとされている。なお、2018年の輸出量が表9と一致しないのは、表12は2018年12月時点の情報をもとにタイ農業・協同組合省が推計したものであるためである。
価格については、2019年の農家庭先価格は1キログラム当たり前年比1.4%高の35バーツ(126円、1バーツ=3.6円)、輸出価格は冷凍鶏肉が0.8%高の90バーツ(324円)、鶏肉調製品が同0.9%高の142バーツ(511円)と見込まれている。
近年農家庭先価格が低下傾向で推移しているのは、需要よりも生産が速いペースで増加したためとされている。
鶏肉などの主な輸出事業者
タイ商務省は、輸出品目ごとに輸出量の多い事業者を公表している。これを基に冷凍鶏肉と鶏肉調製品の輸出量が多い事業者を整理した(表14)。
これによると、冷凍鶏肉と鶏肉調製品の両方とも上位10社に入っているのは、CPマーチャンダイジング社とカーギルミーツタイランド社、サハファーム社の3社である。
ここで挙げられている事業者名は、輸出手続きを行った者であるため、冷凍鶏肉などを生産しない運送事業者も含まれている。
(調査情報部 三原 亙)