鶏肉小売価格は上昇
中国農業農村部によると、2018年の鶏肉の小売価格は年間を通じて2017年よりも高い水準で推移している(図13)。
中国では、2018年8月以降アフリカ豚コレラが続発しているため、豚肉消費の一部は鶏肉や鶏卵にシフトしたと言われており、これが影響している可能性がある。しかしながら、2018年の鶏肉価格上昇の背景には、(1)環境規制強化や低価格による廃業などを原因とする出荷羽数の減少、(2)2017年に国内で多発した鳥インフルエンザによって減退していた国内の需要が回復していることも影響していると考えられる。
ヒナ価格が上昇
2018年の夏以降、肉用鶏のヒナ販売価格は上昇傾向で推移しており、過去最高水準となっている。これは、高い鶏肉価格を受けて積極的に増羽する動きが影響しているものと考えられる(図14)。
鶏肉調製品の輸出は堅調
2018年の鶏肉調製品の輸出量は、26万9000トン(前年比11%増)、うち日本向けが21万トン(同8%増)と堅調に推移しているが、鶏肉賞味期限切れ問題が起きる前の2013年の水準までは回復していない(表15)。
生産、消費はわずかに増加
米国農務省によると、2018年の中国の鶏肉生産量および消費量は前年にくらべてわずかに増加したものの、2015年以前とくらべると、低水準となっている(表16)。
2017年の生産量および消費量の減少は、鳥インフルエンザの多発とそれによる消費の減退が大きく影響していると考えられる。
鶏肉輸入量は増加
中国の冷凍鶏肉輸入元はブラジル産が大半を占めている(表17)。中国では、2017年6月に、ブラジル産冷凍鶏肉のダンピング行為によって国内の生産者が損害を受けているとして、中国畜牧業協会を代表とする鶏肉生産者から、『中華人民共和国アンチ・ダンピング条例』
(注1)に基づいた申請がなされたことから、中国政府は、2017年6月から2019年2月までダンピング実態の調査を行ってきた。その後、2019年2月15日に、中国政府は、ブラジル産鶏肉のダンピング行為と国内生産者への損害を認め、同月17日からブラジル最大のパッカーであるBRF社を含む29社にアンチ・ダンピング税を課すと発表した。
ただし、一定の価格(最低輸入価格)以上で輸出する旨を中国政府に申請し、承認された企業については、アンチ・ダンピング税を課さないとされている。2月15日時点でBRF社を含む13社が最低輸入価格の承認を受けている
(注2)
注1:中国で国務院が定める条例は、日本の政令に相当する。
注2:詳細は海外情報「ブラジル産鶏肉へのアンチ・ダンピング税の賦課を最終決定(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002407.html)を参照。
なお、2018年の中国の輸入冷凍鶏肉の内訳をみると、手羽が43%、もみじが32%を占め、この2品目で4分の3を占めている(図15)。
(調査情報部 三原 亙)