12月の生乳生産量は前年同月比6.9%減
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2018年12月の生乳生産量は、83万7500キロリットル(86万2600トン相当、前年同月比6.9%減)と、7カ月連続で前年同月を下回り、引き続き、厳しい生産状況が続いている。2018/19年度(7月〜翌6月)上半期の累計でも、497万5400キロリットル(512万4700トン相当、前年同期比5.1%減)と前年同期を下回った(図19)。
これは、昨年に発生した豪州東部を中心とする干ばつにより、飼料価格の高騰および水確保のためのコストアップなど厳しい経営環境から、酪農家が乳牛を淘汰し、規模縮小や廃業に追い込まれたためである。
さらに、豪州では夏季に当たる12月に一部の生産地域で猛暑になり、生乳生産量の低下を招いた。
なお、DAが2月に公表した見通しによれば、2018/19年度の生乳生産量は、前年度比7〜9%減の845〜865万キロリットルと、最近20年間で最低の水準になると見込んでおり、昨年10月に公表した生産予測値から、さらに下方修正を行った。
タスマニア州を除き全州で減少
12月の生乳生産量を地域別に見ると、酪農主産地のビクトリア州は53万4100キロリットル(55万100トン相当、同8.8%減)となっており、全体の落ち込みに大きく影響した(表19)。特に、ビクトリア州の北部地域では、干ばつに加え猛暑により、2割を超える減少率になった。
また、ニューサウスウェールズ州およびクイーンズランド州は、それぞれ8万7100キロリットル(8万9700トン相当、同11.0%減)、3万900キロリットル(3万1800トン相当、同10.9%減)と二桁減が継続している。
12月の乳製品輸出量、主要4品目はすべて減少
DAが発表した2018年12月の主要乳製品4品目の輸出量を見ると、生乳生産減などの影響からすべての品目で減少となった(表20、図20)。特に、海外需要の減少が顕著な全粉乳は、ほぼ半減となった。脱脂粉乳は、前年同月が低水準であったことから、ほぼ前年並みとなった。
この結果、2018/19年度上半期(7〜12月)の輸出量を見ると、豪州の生産動向および海外需給動向を反映し、全粉乳が大幅に減少する一方、バター類が、8月および11月の前年同月比が大きかったことから回復傾向を示した。
2018/19年度上半期の乳製品輸出額は前年同期比9.3%減
一方、2018/19年度上半期の乳製品の輸出額は、前年同期比9.3%減の15億6600万豪ドル(1284億円;1豪ドル=82円)と1割近い減少となった(表21)。
品目別に見ると、輸出量を大きく減らした全粉乳が48.0%減と、ほぼ半減となった一方、輸出額の約3割のシェアを占めるチーズが11.5%増、中国向け輸出が順調な牛乳が14.3%増、輸出量の回復が見られるバター類が10.3%増と、海外の需要動向を反映し、品目間で状況が異なっている。
乳製品国際価格、全粉乳を除き3品目で続伸
2019年2月19日に開催された、乳製品の国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表22、図21)。前回開催(2月6日)時と比較すると、全粉乳を除き3品目で引き続き、値を上げており、乳製品の国際価格は、昨年11月を底に上昇傾向となっている。
脱脂粉乳の価格は、前回比1.8%高のトン当たり2580米ドル(28万9000円)と、これまで2000米ドル前後の安値で推移してきたが、2年ぶりに2500米ドル台に回復した。これは、前年同月比で4割程度高い水準となっている。脱脂粉乳は、EUでの公的在庫の解消が見込まれ、国際需給が好転していくとみられている。
全粉乳は、中国などの輸入国からの引き合いが弱まっており、前回比0.2%安の同3022米ドル(33万8000円)と、辛うじて3000米ドル台を維持した。
バターは、昨年11月を底に上昇に転じ、前回比1.1%高の同4495米ドル(50万3000円)と続伸した。なお、高値であった前年同月の水準と比べると、なお15.7%安の水準となっている。
チーズも、前回比2.9%高の同3667米ドル(41万1000円)と続伸した。
(調査情報部 石橋 隆)