平成31年2月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、前月比31円高の1キログラム当たり152円(前年同月比37円安)となった(図13)。
同価格は例年、最需要期の冬場を迎えた後、年明けに相場が下落する傾向にある。31年は、30年半ばから続く低調な相場の中、年末年始の在庫が一斉に流通したことから相場は大幅に下落した。こうした状況を受け、一般社団法人日本養鶏協会は、鶏卵生産者経営安定事業
(注1)のうち、1月に鶏卵価格差補
塡事業、2月に同事業に加え成鶏更新・空舎延長事業をそれぞれ発動し、生産者に対する補助および生産調整が行われている。なお、鶏卵価格差補塡事業に係る2月の補塡額
(注2)は1キログラム当たり19.8円となっている。今後の見通しとして、需要面では、徐々に寒さが和らぎ花見などの行楽需要が見込まれるものの、生産面では引き続き調整が行われているため、今後の相場の動向に注視が必要である。
注1:鶏卵価格が低下した場合に価格差補塡を行う「鶏卵価格差補塡事業」と、価格がさらに下落した場合、成鶏の更新に当たって空舎期間を設けて需給改善を図る取り組みを支援する「成鶏更新・空舎延長事業」とがあり、採卵養鶏経営と、鶏卵価格の安定を図る事業。
注2:補塡額は、標準取引価格と補塡基準価格の差額(補塡基準価格と安定基準価格との差額を上限とする)の9割である。
平成30年の鶏卵生産量、4年連続増加
平成31年3月5日に農林水産省が公表した「鶏卵流通統計調査」によると、平成30年(1〜12月)の鶏卵生産量は262万7764トン(前年比1.0%増)と4年連続で前年を上回った(図14)。これは、29年までの好調な鶏卵相場を受け、生産者の増産意欲が高まったためと考えられる。
都道府県別シェアを見ると、茨城県が8.5%(同0.4ポイント減)と最も高く、次いで鹿児島県が6.9%(同0.2ポイント増)、千葉県が6.4%(同0.2ポイント減)と続き、上位10道県で全体の過半を占めた(図15)。上位10道県のほとんどは、飼料工場が多い港湾地域から近く、茨城県や千葉県については、大消費地である東京からも近いことから、輸送面で優位性がある。
30年のマヨネーズ生産量、8年ぶりに前年を下回る
全国マヨネーズ・ドレッシング類協会によると、平成30年のマヨネーズ・ドレッシング類の生産量は41万535トン(前年比1.3%減)と前年を下回った。このうち、鶏卵を原材料とするマヨネーズが全体の54%を占め、22万859トン(同0.9%減)と8年ぶりに前年を下回った(図16)。一方、カロリーカットしたマヨネーズタイプ調味料などを表す「その他の半固形状ドレッシング」は、6万2952トン(同2.8%増)と種類別で唯一前年を上回った。
(畜産需給部 岩井 椿)