1 はじめに〜群馬県における新規就農者の動向〜
本県における平成30年度新規就農者実態調査(調査期間29年8月2日〜30年8月1日)によると、45歳未満の新規就農者数は215人で前年度より19人増加し、3年ぶりに200人を超えた。経営部門では、園芸(野菜、果樹、花き)が最も多い125人(58.1%)、次いで畜産(酪農、肉牛、養豚、養鶏)が53人(24.7%)で、米麦、本県特産のこんにゃくが続く。
就農形態をみると、自営就農者のうち農家子弟が89人、新規参入が22人、農業法人などへ就職するいわゆる雇用就農者が104人となっており、雇用就農者数については過去最高となっている。また、女性(自営就農+雇用就農)はここ数年40人前後で推移してきたが、30年度は53人となった(表、図1)。
図2は、新規就農者(45歳未満)の部門別の農家子弟、新規参入、雇用就農の比率について、過去3年間の動向を表したものである。園芸では農家子弟の比率が高い一方で、米麦や畜産では雇用就農の比率が高くなっている。特に畜産では、雇用環境が整った大規模な法人経営体が県内に多いことを背景に雇用就農の割合が高く、30年度には90.6%に達している。
図3は、新規就農者の部門別男女比率を示したものであるが、酪農や養豚での女性比率が高
いことがわかる。これらは、企業的な大規模経営体における雇用就農であることは言うまでも
ないが、女性が畜産分野に積極的に進出していることをうかがわせるデータである。
毎年安定的に雇用を確保している養豚経営者に話を聞くと、「社員の定年退職による世代交
代の時期にあることが背景にあるものの、農家出身でない女性が、就職先の一つとして雇用就
農を選んでいる傾向が感じられる。ただし、人材確保は年々難しい状況になっている」とのこ
とである。