ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 2018年の牛肉輸出入動向
韓国向け輸出が伸長
2012年の米韓自由貿易協定(KORUS)発効とともに韓国が米国産牛肉に課す関税は段階的に削減されており、現在の関税率は18.7%と、米国産牛肉と競合関係にある豪州産牛肉に対する関税率(24.0%)を下回っている。加えて、韓国の牛肉需要が高いことや上半期の為替相場が米ドル安傾向で推移したことなどから、2018年の同国向け輸出量(枝肉重量ベース)は前年比35%増の28万9476トンとなった。これは、牛海綿状脳症(BSE)の発生に伴って米国産牛肉の韓国向け輸出が停止する前の最高水準をも上回る、過去最高記録である。
韓国向け輸出量(製品重量ベース)を区分別にみると、2018年も依然として冷凍が大半を占めたものの、冷蔵は24%を占め、数量も増加傾向で推移している(図2)。同国の冷蔵牛肉輸入量に占める米国産の割合も増加傾向で推移しており、2017年に豪州産のシェアを上回って以来、その差は拡大している(図3)。
輸入量は前年並み
USDA/ERSによると、2018年の牛肉輸入量は前年比0.2%増の136万141トンとなった。国別にみると、最大輸入先であるカナダは、同国内の牛肉生産が堅調であることなどから、前年を6.8%上回る35万9233トンとなった。一方、豪州産の輸入量は前年を3.1%下回る30万5304トンであった(表1)。この一因として、牧草主体で肥育される豪州産牛肉と品質面で競合関係にある乳用経産牛由来の赤身肉の供給量が米国内で増加した点があると考えられる。
2018年は年間を通して乳価が低水準で推移したため酪農経営の収益性は悪化した。従って乳用経産牛のと畜頭数は9月を除き前年を上回って推移し、2019年に入っても同様の傾向は継続している(図4)。こうして供給量が増加した乳用経産牛由来の赤身肉は、米国市場において豪州産牛肉より価格優位性があったとみられる。USDAは、豪州が米国向け輸出量の減少分をアジア市場に仕向けるとみており、米国の動向が赤身肉の国際需給に影響を及ぼす可能性を指摘している。