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海外の畜産物の需給動向【豚肉/EU】  畜産の情報 2019年5月号

2018年の豚肉生産量は、前年をわずかに上回る

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2018年12月の豚肉生産量は、前年同月比5.4%減

 欧州委員会によると、2018年12月の豚肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比5.4%減の189万3140トンとなった(図13)。と畜頭数は同5.0%減の2087万頭、1頭当たり枝肉重量は同0.5%減の90.7キログラムとなった。
 
 
 12月の主要生産国の豚肉生産量を見ると、スペインを除き、いずれも減産となった(表7)。
 
 
 2018年の豚肉生産量の合計は、2383万2130トン(前年比2.0%増)となった(図14)。
 
 
 収益性の向上から繁殖母豚飼養頭数が拡大した2017年の流れを受け、2018年上半期の豚肉生産量の合計は前年同期比3.4%増となったものの、下半期は増産のペースが鈍化し、前年同期並み(同0.6%増)となった。なお、2018年12月時点の飼養頭数については、繁殖母豚は前年比3.0%減、子豚(20〜50キログラム)は同2.2%減であったことから、2019年の豚肉生産量は前年をわずかだが下回るとみられている。
 2018年の主要生産国の豚肉生産量を見ると、スペイン、ポーランド、デンマーク、オランダで増産となった。フランスおよびイタリアは前年同水準となり、減産となったのはドイツのみであった。
 EU最大の豚肉生産国であるドイツ(534万2000トン)は、前年比2.2%減であった2017年に続き、2018年は同2.1%減となった。
 第2位の生産国であるスペイン(452万1590トン)は、好調な輸出などを背景に、同2.8%増であった2017年に続き、2018年は同5.2%増となった。
 また、ポーランド(208万2450トン)は、デンマークからの子豚の輸入頭数の増加などにより同4.6%増となった。


2019年2月の豚枝肉卸売価格は、上昇傾向で推移

 欧州委員会によると、2019年2月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比3.7%安の100キログラム当たり135.61ユーロ(1万7087円:1ユーロ=126円)となり、2017年9月以降18カ月連続で前年の水準を下回って推移している。
 価格動向を週ごとに見ると、2月4日の週に前週比0.2%高となった後、7週連続して前週比高で推移している。3月18日の週は同2.7%高の同143.15ユーロ(1万8037円)となり、価格は低迷しているものの、上昇傾向にある(図15)。
 
 
 年初の価格上昇は、需給の引き締まりによるものであり、例年通りの動きであるが、関係者は、価格の上昇の主な要因の一つに、中国向けの輸出が増加していることを挙げている。
 
2019年1月の豚肉輸出量は前年同月比増

欧州委員会によると、2019年1月の豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量(EU28カ国)は、前年同月比9.8%増の20万797トンとなった(表8)。
 

 国別に見ると、最も増加したのは中国で、同18.2%増となった。中国向けの輸出について2018年の動向を見ると、7月以降は、同1.8%増となった10月を除き前年同月を下回って推移し、その結果、通年では前年比6.0%減となり、2019年1月は3カ月ぶりの増加となった。
 また、米国向け(同16.5%増)は4カ月連続で、日本向け(同15.5%増)は前月に続き増加した。一方、香港向け(同20.7%減)は13カ月連続で、韓国向け(同10.6%減)は前月に続き、フィリピン向け(同3.5%減)は7カ月ぶりの減少となった。
(調査情報部 前田 絵梨)