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海外の需給動向【牛乳・乳製品/EU】  畜産の情報 2019年5月号

1月の脱脂粉乳の輸出量は前年同月と比べ大幅に増加

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1月の生乳出荷量は前年同月を下回る

 欧州委員会によると、2019年1月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月を下回る1287万5740トンとなった(図18)。生乳出荷量は、2018年の夏に複数のEU加盟国が干ばつに見舞われた影響で増加傾向に歯止めがかかった。2018年8〜10月は前年同月比0.2%増〜同0.1%減、11〜12月は同0.7〜0.8%減で推移し、2019年1月は同1.2%減となった。
 
 
 1月の出荷量を加盟国別にみると、アイルランド(前年同月比4.5%増)、ポーランド(同3.2%増)、英国(同1.7%増)などは増加した(表9)。なお、ポーランドは、2018年の年間を通して、アイルランドは2018年8月以降、英国は同10月以降、増産を維持している。
 
 
 一方、オランダ(同5.1%減)、フランス(同2.9%減)、ドイツ(同2.1%減)などでは減少した。なお、オランダは、2018年の年間を通して、フランスは同年8月以降、ドイツは同年10月以降、減産傾向にある。


2月の生乳価格は前年同月比高

 欧州委員会によると、2月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比1.9%高の100キログラム当たり35.08ユーロ(1キログラム当たり44.20円:1ユーロ=126円)となった(図19)。乳価は、2018年4月以後、連続して前年同月比安で推移していたが、2019年2月は11カ月ぶりに上昇に転じた。これは、2018年8月以降、生乳の増産傾向に歯止めがかかった影響ではないかと考えられる。
 
1月の乳製品輸出量は、脱脂粉乳およびチーズで前年同月比増

 欧州委員会によると、1月のEUの乳製品輸出量は、脱脂粉乳(8万6800トン、前年同月比53.0%増)およびチーズ(6万7991トン、同8.4%増)が前年同月を上回り、バター(1万731トン、同14.8%減)および全粉乳(2万7425トン、同10.3%減)が前年同月を下回った。
 脱脂粉乳の輸出について2018年の動きを見ると、8月までは2月および7月を除いて前年同月と比べ減少したものの、9月以降は増加して推移した。その結果、通年では、前年比増(82万1750トン、前年比5.4%増)となった。輸出量の増加傾向は続いており、2019年1月も前年同月を上回り、アルジェリアを除く主要輸出先国ではいずれも増加した(表10)。この背景には、EUが抱えていた脱脂粉乳の公的在庫が重しになり、EU産の脱脂粉乳価格が低迷していたことから、輸出価格の優位性が高まったためと考えられる。
 
 
 なお、当初38万トンあった公的在庫が、これまでの売渡入札の結果、残りわずか1139トン(第35回売渡入札(2019年4月16日実施)対象数量)となったこともあり、EUの脱脂粉乳平均卸売価格は2019年3月18日の週に100キログラム当たり189.48ユーロ(2万3874円)(公的買入価格(169.80ユーロ(2万1395円)の19.68ユーロ(2480円)高)になるなど上昇している(図20)。
 
 
(調査情報部 前田 絵梨)