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海外の需給動向【牛乳・乳製品/NZ】  畜産の情報 2019年5月号

順調な生乳生産と国際需給の改善で乳製品輸出は回復傾向

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1月の生乳生産量は、前年同月比7.7%増と順調に推移

 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2019年1月の生乳生産量は、247万1000トン(前年同月比7.7%増)と10カ月連続で前年同月を上回り、順調な生乳生産を反映するものとなった(図23)。2018/19年度(6月〜翌5月)の1月までの累計では1602万5000トン(前年同期比4.9%増)と好調に推移している。これは、隣国の豪州と異なり春から夏にかけて適度な降雨に恵まれ、牧草の生育状況が良好であったためである。
 


1月の乳製品輸出量、チーズを除く主要3品目で増加

 ニュージーランド統計局(NZ統計局)によると、2019年1月の乳製品主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表13、図24)。
 
 
 
 脱脂粉乳については、これまで国際需給が緩和基調であったことから減少してきたが、EUの公的在庫の解消の目途が立ったことから、国際需給は回復に転じ、前年同月比7.3%増と前年同月を上回った。
 また、全粉乳およびバター類については、中国をはじめアジア諸国からの引き合いが強まりつつあることから、それぞれ同17.6%増および同43.9%増となった。チーズについては、ほぼ安定的な輸出状況となっているが、同2.0%減とわずかに減少した。
 この結果、2018/19年度の6〜1月の主要4品目の累計は、バター類を除き前年同期比で減少となっているが、生乳生産が順調であることや国際需給が回復傾向にあることから、徐々に挽回してきている。
 
ウェストランド社が中国大手乳業メーカーへの売却条件を提示

 ニュージーランド南島のウェストランド社は3月21日、イリ(伊利)社への同社の売却条件を提示し、合意したと発表した。売却額は1株当たり3.41NZドル(266円:1NZ=78円)、総評価額は5億8800万NZドル(458億6400万円)。今後は、7月上旬に開催予定の株主総会において、これらの売却条件について酪農家である株主の承認を求めることとなる。
 ウェストランド社は、南島の西部地区を拠点とする農協系としてはNZで2番目の乳業会社で、NZ最大の農協系乳業会社フォンテラ社などと比べ、低い乳価を提示せざるを得ない状況が続いていた。
 一方、イリ社は中国系の大手乳業会社で、既に2013年から南島カンタベリー地区で育児用粉乳を生産しており、南島での勢力拡大を目指している。


乳製品国際価格、脱脂粉乳を除き3品目で続伸

 2019年3月19日に開催された、乳製品の国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表14、図25)。前回開催(3月5日)時と比較すると、脱脂粉乳を除き3品目で引き続き、値を上げており、乳製品の国際価格は、昨年11月を底に上昇傾向で推移している。
 


 
 
 脱脂粉乳の価格は、前回比2.3%安の1トン当たり2405米ドル(26万9000円)と、昨年11月以降、回復傾向であったが再び低下した。ただし、安値であった前年同月比では27.5%高い水準となっている。
 全粉乳は、これまで海外需要が低迷していたが、徐々に中国などの輸入国からの引き合いが回復し、前回比4.1%高の同3317米ドル(37万2000円)と、昨年11月以降、上昇傾向となっている。
 バターは、昨年11月を底に上昇に転じ、前回比9.3%高の同5089米ドル(57万円)と再び上昇度合いを強め、8カ月ぶりに5000米ドル台に達した。なお、高値であった前年同月の水準と比べると、なお3.6%安の水準となっている。
 チーズも、上昇傾向を強めており、前回比3.8%高の同4036米ドル(45万2000円)と10カ月ぶりに4000米ドル台に達した。
 
(調査情報部 井田 俊二)