台湾のトウモロコシと大豆は大部分が米国から輸入されているため、トウモロコシと大豆粉の価格の中長期的なすう勢は米国の直近の先物価格または農場価格によって変動する。
2006年まで、米国のトウモロコシ価格は約2.0ドル/ブッシェル(約9円/キログラム)、台湾のトウモロコシ価格は約5TWD/キログラム(約18円/キログラム)であった。しかしながら2007年以降、米国がトウモロコシを大量に使用してバイオエタノールを製造するようになったことからトウモロコシ価格が上昇し、さらに2012年には干ばつがあったため、6.0ドル/ブッシェル(27円/キログラム)に達し、台湾のトウモロコシの年平均価格も11TWD/キログラム(40円/キログラム)となった。近年、米国のトウモロコシは豊作で、価格は3.0〜4.0ドル/ブッシェル(13〜18円/キログラム)を維持し、台湾のトウモロコシ価格は約7〜8TWD/キログラム(25〜29円/キログラム)となっている。
大豆かすは飼料の主要原料である。2007年まで、米国の大豆価格は5.0〜8.0ドル/ブッシェル21〜33円/キログラム)、台湾の大豆かす価格は約8〜10TWD/キログラム(29〜36円/キログラム)であった。しかし、2012年と2013年、米国の大豆の年平均価格は14.0ドル/ブッシェル(58円/キログラム) に達し、台湾の大豆かす価格も18TWD/キログラム(65円/キログラム)に上昇した。近年は、米国の大豆の平均価格は約9.0ドル/ブッシェル(37円/キログラム)、台湾の大豆かすの価格も12〜14TWD/キログラム(43〜51円/キログラム)に維持されている(図6)。
(注) トウモロコシは1ブッシェルを25.4キログラム、大豆は1ブッシェルを27.2キログラムとして換算。
(1) トウモロコシ価格の短期的な変動状況
台湾のトウモロコシ価格の形成には、国外の購入価格のほかに、輸送コストが含まれる。つまり、船舶輸送費と輸出国の港のFOB価格である。前述の中長期価格は米国のトウモロコシの直近の先物価格によって変動する。現在の原油価格を見ると、輸送費用は20年前と比較してはるかに高くなっているため、先物価格が同じ場合、台湾の現物価格は20年前より1〜2TWD/キログラム(4〜7円/キログラム)高くなる。
台湾のトウモロコシ市場状況については、短期的な輸入量や船舶による出荷の時期がトウモロコシ価格に影響する。2012年7月、米国は干ばつで、トウモロコシ価格が600セント/ブッシェル(27円/キログラム)から800セント/ブッシェル(36円/キログラム)へと上昇し、台湾のトウモロコシ価格も9.0TWD/キログラム(32円/キログラム)から13.5TWD/キログラム(49円/キログラム)まで上昇した。2013年7月に米国のトウモロコシが豊作となることが予測された際、トウモロコシの先物価格は700セント/ブッシェル(31円/キログラム)から500セント/ブッシェル(22円/キログラム)へと下落した。ところが台湾のトウモロコシ価格は11.0TWD/キログラム(40円/キログラム)から14.0TWD/キログラム(51円/キログラム)へと上昇し、その後急速に下落して10.0TWD/キログラム(36円/キログラム)まで下がった。
2013年11月に米国のトウモロコシ価格が400セント/ブッシェル(18円/キログラム)まで回復した際、台湾のトウモロコシ価格は8.0TWD/キログラム(29円/キログラム)に戻った。米国のトウモロコシ価格が急速に下落した際、台湾のトウモロコシバイヤーはすぐには購入せず、価格が安定した時点で購入した。その結果、輸入量が市場のニーズに足りなくなり、2012年8月にはほぼ1カ月、トウモロコシのばら積み貨物船が入港しなかった。そのため、台湾の国内価格は下落せずにかえって上昇した。米国のトウモロコシの先物価格の下落がやや安定した時点で、台湾の業者が輸入を再開したことから、量が足りると価格はただちに下落を開始し、価格は国際市場の価格を反映したものとなった。また、2017年2月には、輸入量が国内需要に満たず、船舶の出荷が続かなかったため、価格が1カ月の間に8.0TWD/キログラム(29円/キログラム)から12.0TWD/キログラム(43円/キログラム)へと急上昇した後、再び6.0TWD/キログラム(22円/キログラム)へと急落した(図7)。
(2)大豆かす価格の短期的な変動状況
台湾が輸入する大豆は大部分が搾油に用いられ、豆殻は牛の餌となり、大豆かすは飼料の製造に用いられる。大豆油の価格が安定していることから、大豆かすの価格は相対的に安定しており、トウモロコシのように供給が不足すると急激に価格が上昇し、また急激に下落するといった短期的な価格の変動はない。台湾には、大統益公司と中聯油脂公司という二つの大きな大豆油工場がある。このほか、台糖もまた大豆油工場であり、こうした大企業がその製造工程にあわせて安定的に大豆を輸入するため、大豆かすの短期的な価格は相対的に安定している(図8)。