と畜頭数、去勢牛は増加も、経産牛の減少により前年度並み
ニュージーランド統計局によると、2018/19年度(10月〜翌9月)の10月〜翌2月までの牛と畜頭数は、100万頭(前年同期比1.0%減)とわずかに減少した(図7)。12月および1月を除いて前年同月を上回ったものの、12月は、前年度が干ばつにより経産牛を中心に淘汰が大幅に増加した一方、今年度は良好な降雨により牧草の生育が良かったため出荷を遅らせたことなどから、前年同月比34.6%減と大幅に減少し、累計ではわずかに減少した。内訳をみると、牛肉輸出単価が堅調に推移していることから、去勢牛(24万頭、同6.8%増)、未経産牛(20万頭、同3.0%増)および雄牛(33万頭、同1.9%増)のいずれも増加したものの、経産牛は、前年度が干ばつにより淘汰が増加した反動により、23万頭(同14.0%減)と大幅に減少した。
牛肉輸出量、中国向けが大幅増
ニュージーランド統計局によると、2018/19年度の10月〜翌2月までの牛肉輸出量は、16万8128トン(前年同期比2.2%増)とわずかに増加した(表5)。冷蔵、冷凍別にみると、冷凍牛肉の輸出量は15万4177トン(同0.5%増)と前年同期並みとなっている一方、冷蔵牛肉の輸出量は1万3951トン(同25.5%増)と大幅に増加した。
輸出先国別にみると、これまで最大の輸出先国であった米国向けは、5万4607トン(同24.6%減)と大幅に減少した。
一方、中国向けは、5万9966トン(同55.7%増)と大幅に増加し、米国を抜いて最大の輸出先国となった。中国の加工向け牛肉の需要が増加しており、これまで米国向けに仕向けられていた牛肉の一部が中国向けに仕向けられているとみられる。また、同国向けの冷蔵牛肉は2823トンと前年同期から約4倍に増加し、これまで冷蔵牛肉の最大の輸出先国であった日本を上回った。NZは、2017年に中国から10工場が冷蔵牛肉の輸出認定を受け、それ以降、同国向けの冷蔵牛肉輸出は増加傾向で推移している。
日本向けも、大幅に増加しているものの、前年同期が関税緊急措置の発動により関税率が引き上げられ、減少したことによる反動であり、2016/17年度の同期間と比較すると、同水準である。
米国および中国向けの冷凍牛肉輸出価格の推移をみると、2016年以降、中国向けの輸出価格が米国向けを上回って推移している(図8)。中国は、いまや牛肉の主要な輸入国となっており、加工向け牛肉輸入に関して米国と競合関係にある。これまで、米国向け輸出が大部分を占めていたNZは、中国向け牛肉輸出価格が比較的良好であることもあり、米国への依存度を下げ、中国向けを増加させているとみられる。
(調査情報部 大塚 健太郎)