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海外の需給動向【豚肉/カナダ】 畜産の情報2019年6月号

飼養頭数の減少に加え、米国向け生体・豚肉輸出も減少

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豚総飼養頭数は6年ぶりに減少
 カナダ統計局(Statistics Canada)が2019年3月1日に公表した「Hog Statistics」によると、2019年1月1日現在の豚の飼養頭数は1403万頭(前年比1.0%減)となり、2013年以来、6年ぶりに前年を下回った(図10)。現地の業界紙などによれば、供給過剰から肥育豚価格が低調に推移していた米国の影響を受け、カナダの肥育豚価格も低調に推移していたことから、収益性が悪化した養豚生産者の増頭意欲が減退したとみられる。
 

 減産傾向は2018年の子豚生産動向にも表れており、Statistics Canadaによれば、2018年下半期(7〜12月)の分娩母豚頭数は前年同期比2.1%減の122万2300頭、産子数は同2.6%減の1597万8100頭と、いずれも前年同期を下回った。
 こうしたことから、2019年1月1日時点の豚飼養頭数を種類別にみると、繁殖豚頭数は同0.2%減の125万9400頭と前年をわずかに下回った(表8)。 また、肥育豚の中では、23〜53キログラムという比較的軽量の重量区分では同4.7%減と前年をやや下回り、肥育豚全体も1277万600頭と前年を1.0%下回った。
 


米国向け生体豚輸出頭数は減少
 最大の生体豚輸出先である米国では豚飼養頭数が過去最高水準で推移していることから、同国向け輸出頭数は低調に推移している。カナダ農務・農産食品省(AAFC)によると、2018年の米国向け生体豚輸出頭数は524万3338頭(前年比6.2%減)となり、2017年に続き2年連続で前年を下回った。種類別にみると、肥育用豚は前年比6.6%減の430万7268頭、と場直行豚は同6.3%減の79万2660頭となった(図11)。
 


中国向け豚肉輸出は直近で増加
 Statistics Canadaによれば、2018年の豚肉輸出量は前年をわずかに下回る96万1551トン(前年比1.9%減)となった。輸出先別にみると、最大輸出先である米国向けは、同国内での豚肉生産が高水準で推移していることなどから、前年比14.7%減の25万2676トンとなった。中国向けは同1.1%減の22万1386トンであったが、月別輸出動向をみると同国向け豚肉輸出量は2018年8月以降、おおむね増加傾向で推移しており、9〜12月は米国向け輸出量を上回って推移した。同様の傾向は2019年に入っても継続しており、1〜2月の合計輸出量をみると、中国向けが4万7842トン(同26.0%増)と大幅に増加して最大輸出先となった一方、米国向けは3万6416トン(同22.3%減)と大幅に減少した(表9)。
 


肥育豚価格が急騰
 AAFCが毎週公表する「Red Meat Price Report – Hogs」によると、主要豚肉生産州のひとつであるオンタリオ州の豚枝肉価格は2019年3月中旬以降急騰し、4月第一週は100キログラム当たり219.32カナダドル(1キログラム186円:1カナダドル=85円)と、前年を37.0%上回った(図12)。米国内の豚肉卸売価格は上昇しており、かねてから言われているように米国の市況が急騰の一因であったと考えられる。
 
 
 (調査情報部 野田 圭介)