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海外の需給動向【生乳・乳製品/NZ】 畜産の情報2019年6月号

3月の生乳生産、乾燥気候の影響で1年ぶりに前年同月を下回る

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3月の生乳生産量は、前年同月比8.2%減
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2019年3月の生乳生産量は、171万3000トン(前年同月比8.2%減)と2018年3月以来1年ぶりに前年同月を下回った(図21)。今シーズンは順調な生乳生産が続き1月まで前年同月を上回る水準で推移したが、主産地であるワイカト地方をはじめ各地で夏場の乾燥気候により牧草の生育状況が悪化した。このため、2月は前年同月並となり、3月には減少に転じた。この結果、2018/19年度(6月〜翌5月)の3月までの累計は、1961万3000トン(前年同期比3.2%増)と2月までの増加率を1.2ポイント下回った。

 

 
2月の乳製品輸出量、主要4品目すべてで増加
 ニュージーランド統計局によると、2019年2月の乳製品主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表15、図22)。
 



 
 

 脱脂粉乳については、これまで国際需給が緩和基調であったことから減少してきたが、EUの公的在庫がほぼ解消することから、国際需給は回復に転じ、前年同月比20.9%増と中国向けをはじめ大幅に前年同月を上回った。
 全粉乳については、中国、アルジェリア、マレーシアなどからの需要増により、また、バター類については、イラン向けに1万トン近い輸出があり、それぞれ同23.1%増、53.3%と大幅に増加した。
 この結果、2018/19年度の6〜2月の主要4品目の累計は、バター類および全粉乳において前年同期比で増加し、これまで順調に推移してきた生乳生産や国際需給が改善しつつあることなどを背景として、輸出量は回復してきている。


乳製品国際価格、バター、チーズは引き続き上昇
 2019年4月16日に開催された、乳製品の国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表16、図23)。前回開催(4月2日)時と比較すると、バターおよびチーズの品目で価格が上昇しており、乳製品の国際価格は、昨年11月以降上昇傾向で推移している。
 



 

 脱脂粉乳の価格は、前回比0.2%安のトン当たり2462米ドル(27万8000円)と昨年11月から2月にかけて上昇したが、3月以降同水準で推移している。ただし、前年同月比では28.7%高と大幅に上昇している。
 全粉乳は、市場の需要が北アジアを中心に引き続き低迷していることから、前回比0.5%安の同3269米ドル(36万9000円)と2回続けて下落した。
 バターは、昨年11月以降上昇しており、今回も前回比3.2%高の同5544米ドル(62万6000円)と上昇した。この結果、今年1月から36%、価格が底であった昨年11月から52%上昇したこととなる。なお、高値であった前年同月の水準と比べると、なお1.9%安の水準となっている。
 チーズも、上昇傾向を維持しており、前回比1.7%高の同4319米ドル(48万8000円)と2017年6月の高値を上回った。
(調査情報部 井田 俊二)