1 平成31年4月の牛肉生産量(部分肉ベース)は、2万9292トン(前年同月比1.8% 増)と前年同月をわずかに上回った。品種別では、和牛は1万3785トン(同5.3%増) と前年同月をやや上回った一方、交雑種は7708トン(同1.0%減)と前年同月をわず かに下回り、乳用種は7483トン(同1.3%減)と15カ月連続で前年同月を下回った。
なお、過去5カ年の4月の平均生産量と比べると、全体ではわずかに上回る結果 (1.2%増)となった。
2 4月の輸入量は、TPP11が2年目の税率に引き下がることや為替の影響を見越して、 輸入業者が一部の通関を4月に先送りしたことに加え、10連休の需要に向けて多めに手当したことなどにより、冷蔵品は2万5829トン(同2.8%増)とわずかに、冷凍品は4万1376トン(同11.9%増)とかなり大きく、いずれも前年同月を上回ったことから、全体では6万7276トン(同8.3%増)と前年同月をかなりの程度上回った。
なお、過去5カ年の4月の平均輸入量と比べると、冷蔵品、冷凍品ともに大幅に上回る結果(冷蔵品:19.0%増、冷凍品:28.8%増)となった。
3 4月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は、175グラム(同8.6%減)と8カ月ぶりに前年同月を下回った。 一方、4月の外食産業の売上高は、全体が前年同月比1.7%増と前年同月をわずかに上回る中で、ファーストフード洋風が同3.4%増、ファーストフード和風が同4.9%増、ファミリーレストラン焼き肉が同3.4%増といずれも前年同月をやや上回った。
4 4月の推定期末在庫量は11万7194トン(同19.0%増)と10カ月連続で前年同月を上回った。このうち、国産品は9398トン(同4.1%増)とやや、輸入品は10万7796トン(同20.5%増)と大幅に、いずれも前年同月を上回った(図1)。推定出回り量は、9万4950トン(同5.9%増)と前年同月をやや上回った。このうち、国産品は2万8264トン(同2.5%減)と前年同月をわずかに下回った一方で、輸入品は6万6686トン(同9.8%増)と前年同月をかなりの程度上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、総務省「家計調査」、日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」、農畜産業振興機構調べ)。
和牛のと畜頭数、増加傾向で推移
和牛のと畜頭数は、平成25年度以降減少傾向で推移する中、和牛の繁殖めす牛の増頭に加え、乳用牛への和牛受精卵移植技術の活用などにより、29年度からは回復傾向となっている。
農林水産省が公表した「食肉流通統計」によると、平成31年4月の和牛のと畜頭数は4万1616頭(前年同月比4.5%増)と4カ月連続で前年同月を上回った。内訳を見ると、和牛去勢(おす含む)のと畜頭
数は2万2626頭( 同5.4%増) となり、和牛めすは1万8990頭(同3.5%増)といずれも前年同月をやや上回った(図2)。
交雑牛のと畜頭数、減少傾向で推移
交雑牛のと畜頭数は、乳用種めす牛の減少に加え、乳用牛への受精卵移植技術の活用などによる和子牛の生産拡大や、乳用後継牛を確保する動きがあることから、平成30年12月以降、前年同月を下回って推移している。
31年4月の交雑種のと畜頭数は2万1426頭(前年同月比1.4%減)と5カ月連続で前年同月を下回った。内訳を見ると、交雑去勢牛(おす含む)のと畜頭数は1万1089頭(同2.9%減)と前年同月をわずかに下回る一方、交雑めす牛のと畜頭数は1万337頭(同0.3%増)と前年同月並みとなった(図3)。
乳牛のと畜頭数、減少傾向で推移
乳牛のと畜頭数は、乳用種めす牛の減少に加え、乳用牛への受精卵移植技術の活用などによる和子牛の生産拡大や、性判別精液の活用などによる乳用後継牛を確保する動きにより、肉用の乳牛去勢(おす含む)が減少傾向となっている。
31年4月の乳牛のと畜頭数は2万7507頭(前年同月比0.4%減)と9カ月連続で前年同月を下回った。内訳を見ると、乳牛去勢(おす含む)のと畜頭数は1万4441頭(同4.7%減)と前年同月をやや下回った一方、乳牛めすのと畜頭数は1万3066頭(同4.9%増)と前年同月をやや上回った(図4)。
(畜産振興部 河村 侑紀)