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海外の需給動向【牛肉/中国】 畜産の情報 2019年7月号

引き続き輸入量が増加し、国内価格は高止まり

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輸入量は引き続き増加
 中国海関総署によると、2019年1〜3月の牛肉輸入量は31万1000トンで、前年同期比47.1%増となった。なお、中国側は2018年4月以降、詳細な統計を公表していないため、輸入先国別の輸入量は不明である。
 輸出国側の統計をみると、2019年1〜3月の中国向け冷凍牛肉輸出量は、2018年4月と6月に追加関税が課された米国を除き、大幅に増加している(表4)。
 中国では、牛肉需要が年々増加しているものの、牛肉生産量は過去10年にわたってほとんど増加していない(注)。このため、供給不足を輸入で補っており、今後も輸入は増加すると考えられる。

(注)牛肉生産量については、『畜産の情報2019年1月号「海外の畜産物の需給動向」』のP20を参照。
 

 現地専門家によると輸入冷蔵牛肉は高級レストランに卸されているといわれており、輸入単価は冷凍牛肉の2倍以上だが、2019年1〜3月の中国への輸出量は、豪州、NZ、米国とも大幅に増加した(表5)。単価の高い牛肉の需要も拡大を続けているとみられる。
 

国内価格は高止まり
 牛枝肉の卸売価格は、輸入量が増加しているにも関わらず、2017年8月以降は上昇基調で推移していた。2019年2月以降はわずかに下落しているものの、5月の価格は前年同月比8.3%高の1キログラム当たり56.4元(同952円:1元= 16.88円)となっている(図4)。
 国産牛肉の生産コストが高騰しており、生産量の増加が見込めないことから、今後も高い水準で推移すると考えられる。
 

 食生活の変化により牛肉需要が拡大する中、2018年8月に中国でアフリカ豚コレラが発生したことにより、一部の消費者が豚肉の代わりに牛肉など他の肉類を消費し、牛肉需要がさらに増加しているといわれている。
(調査情報部 寺西 梨衣)