3月の生乳生産量は前年同月比10.6%減、年度累計でも減少率拡大
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2019年3月の生乳生産量は、57万9100キロリットル(59万6400トン相当、前年同月比10.6%減)と、10カ月連続で前年同月を下回り1月以降3カ月続けて2桁減となった。
また、2018/19年度(7月〜翌6月)の3月までの累計は、682万2300キロリットル(702万7000トン相当、前年同期比6.7%減)と2月までの累計よりさらに0.3ポイント減少率が拡大した(図12)。これは、年度当初から東部を中心に発生している干ばつに加え、夏場の12月以降の記録的な高温の影響で、飼料価格やかんがい地域における水取引価格の高騰により廃業や乳牛の淘汰が進んだためである。
ビクトリア州北部地域での減少が大きく4カ月続けて2割以上減
2019年3月の生乳生産量を地域別に見ると、最大生産地のビクトリア州は33万1400キロリットル(34万1300トン相当、同12.9%減)と3カ月続けて2桁減となり、干ばつなどの影響を受けたニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州と合わせて豪州全体の減少につながっている(表13)。特に、ビクトリア州の主産地の一つである北部地域では減少が顕著で、3月の生乳生産量は9万4800キロリットル(9万7600トン相当、同27.5%減)と4カ月続けて前年同月比2割以上の落ち込みとなっている。
また、3月には唯一前年同月を上回っていたタスマニア州を含むすべての州で前年同月を下回っており、異常気象の影響が大きい。2018/19年度3月までの累計では、タスマニア州、南オーストラリア州を除いた州で前年同期を下回った。
3月の乳製品輸出量、全粉乳は引き続き大幅減
DAが発表した3月の主要乳製品4品目の輸出量を見ると、全粉乳、チーズおよび脱脂粉乳が前年同月より減少する一方、バター類が大幅に増加した(表14、図13)。
全粉乳の輸出量は、NZからの輸出が増加する一方、豪州における生乳生産減少等の影響により、2018年8月以降おおむね前年同月比3割以上の大幅な減少が続いている。脱脂粉乳は、国際需給の改善がみられるものの、生乳生産が減少したことから前年同月を下回った。
一方、バター類については、前年度の輸出実績が低水準であったことや豪州での生乳生産の減少に伴う供給量の減少を見込んだ相手国からの需要があることなどから前年同月比で81.0%と大幅に増加している。
この結果、2018/19年度(7〜3月)9カ月間の輸出量累計は、豪州の生産動向や海外需給動向を反映し、全粉乳が4割減少する一方、バター類は3割増加している。
(調査情報部 井田 俊二)