平成31年4月の生乳生産量は、62万2798トン(前年同月比0.1%減)となった(図9)。地域別に見ると、北海道は33万4583トン(同1.4%増)と前年同月をわずかに上回った。一方、都府県は28万8215トン(同1.8%減)と前年をわずかに下回った。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けが32万3546トン(同0.2%減)と4カ月ぶりに前年同月を下回った。一方で、乳製品向けは、29万5631トン(同0.1%増)と4カ月ぶりに前年同月を上回った。乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けは14万8284トン(同1.5%増)となっている。
牛乳生産量は堅調に推移、脱脂粉乳・バターも増加傾向で推移
4月の飲用牛乳等の生産量の内訳を見ると、牛乳の生産量は25万2648トン(前年同月比0.1%増)と引き続き堅調に推移した。一方、加工乳・成分調整牛乳の生産量は3万2353トン(同6.4%減)と減少傾向が続いている。
乳製品の生産量は、バターが6071トン(同1.4%増)と2カ月連続で前年同月を上回り、脱脂粉乳も1万2226トン(同4.8%増)と3カ月連続で前年同月を上回った。北海道の生乳生産が増加していることに加え、大型連休などで学校給食用向けの一部が仕向けられたものとみられる。
月末在庫は、バターが2万4600トン(同0.1%減)、脱脂粉乳が6万8236トン(同1.0%減)となった。
令和元年度、増頭により生乳生産量は増加の見通し
一般社団法人Jミルクは、令和元年5月31日「2019年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと今後の課題について」を公表した。これによると、令和元度の生乳生産量は734万トン(前年度比0.8%増)、このうち、北海道が406万2000トン(同2.4%増)、都府県が327万8000トン(同1.1%減)と見通している(表)。
北海道では、2歳未満の乳用雌牛頭数が増加傾向にあることに加え、今後、生産の主力となる2〜4歳の頭数が前年度を超えて推移するとしている。
また、都府県においても、2歳未満の乳用雌牛頭数が前年を上回って推移し、2〜 4歳の頭数についても、これまでの減少傾向から、年度後半には上向きに転じると見込んでいる。
生乳処理量の増加で、牛乳・乳製品ともに増産の見通し
用途別処理量の見通しを見ると、飲用等向けが409万5000トン(前年度比0.3%増)となる一方、乳製品仕向けも、319万8000トン(同1.5%増)と増加するとしている。品目別に見ると、脱脂粉乳・バター等向けが152万4000トン(同2.7%増)、その他乳製品向けが167万4000トン(同0.4%増)と見込んでいる。
こうした結果、牛乳の生産量は316万5000トン(同0.3%増)と堅調な推移が見込まれるとともに、脱脂粉乳、バターの生産量もそれぞれ12万3600トン(同2.9%増)、6万1500トン(同2.8%増)といずれも増産を見込んでいる。
農林水産省、令和元年度の輸入枠変更なし
農林水産省は、1月に設定した令和元年度の輸入枠数量(バター2万トン、脱脂粉乳2万トン)を検証したところ、引き続き定期的な入札により需要に応じた計画的な輸入がなされることから、今後とも需給は安定的に推移する見込みであるとして、変更しないと発表した(5月31日)。
(酪農乳業部 山北 淳一)