19年の平均肥育牛価格は前年比0.1%安
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2019年6月26日に更新した「Livestock Prices」によると、2019年6月(速報値)の肥育牛価格は前年同月比2.9%高の100ポ ンド当たり113.25米ドル(1キログラム当たり272円:1米ドル=109円)となった(図1)。肥育牛価格は2019年3月以降、前年同月をわずかに上回る水準ではあるものの、4月以降下落傾向で推移している。
しかし、USDAは2019年6月17日に公表した「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」の中で、今後も出荷頭数が堅調に推移して肥育牛価格は引き続き下落するとみており、2019年第2四半期(4〜6月)の主要5地域平均肥育牛価格を3米ドル下方修正 し、同118米ドル(同283円)と見込んでいる。また、USDAは2019年の平均肥育牛価格については同117米ドル(同281円)と予測しており、これは前年を0.1%下回る水準である。
19年下半期の導入頭数は低調見込み
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2019年6月21日に公表した「Cattle on Feed」によると、2019年6月1日時点のフィードロット導入頭数は前年同月比1.6%増の1174万頭となり、同時点と しての最多記録を更新した(図2)。
ただし、USDAは2019年6月17日に公表した「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」において、2019年下半期のフィードロット導入頭数が低調に推移すると見込んでいる。USDAは肥育牛価格の下落に加え、飼料穀物価格の上昇から、肥育業者が肥育もと牛の導入を控える可能性を指摘しており、結果的に2020年初頭のフィードロット出荷頭数も減少すると予測している。
1〜4月の生体牛輸入頭数は前年比大幅増
生体牛輸入頭数は2019年1月以降、過去5年平均を上回る高水準で推移しており、 USDAによると4月は22万2429頭(前年同月比28.7%増)、1〜4月の合計は78万9514頭(前年同期比23.3%増)となった(表1)。輸入先別にみると、メキシコ産とカナダ産のどちらも前年を大幅に上回っている。このう ちメキシコについてUSDAは、同国が現在牛群拡大期にあり、生体牛の輸出余力が高いと している。なお、輸入されるメキシコ産生体牛の多くはバックグラウンディング
(注)に仕向けられる子牛であるとみられる。
(注) フィードロットに出荷される前補助的育成段階。
(調査情報部 野田 圭介)