(1)水質管理
ア 政府の取り組み
水質汚濁を防止するための水質管理に関しては、1991年資源管理法(The Resource Management Act 1991)において規定されている。同法は、環境全般に関して基本となる方向性を定める法律であり、空気、土壌、水などの天然資源に悪影響を及ぼすような活動を最小限にし、天然資源の持続的な管理を促進することを目的としている。同法では、具体的な水質目標や管理計画の策定・運用は、地方自治体が行うこととしている。また、地方自治体に対して、環境に悪影響を及ぼす可能性がある活動について、その影響の度合いに応じて、禁止したり許可制にしたりするなどの規制を導入するよう義務付けている。
さらに、資源管理法の下、2011年に制定された「淡水管理に関する全国方針声明書(The National Policy Statement for Freshwater Management、以下「NPS」という)では、水質に関する国の最低基準などを設定するとともに、地方自治体に対して、すべての水域(水源から、湖や河川、海に流れ出るまでの水の流れ全体を指す、以下同じ)に対して最低の水質基準を設定し、それを達成するための施策の実施を求めている(表1)。NPSは、2017年に改正されたが、その改正では、遊泳に適した湖または河川(表1で、青、緑および黄色と判定されたもの)を、2017年時点の71%から、2030年には80%、2040年には90%まで引き上げるという目標が設定された。
全国の湖や河川における水質を管理するため、環境省や複数の地方自治体などは、共同出資により「土地、空気、水 アオテアロア(Land, Air, Water Aotearoa、以下「LAWA」という)」を設立し、水質に係るデータなどの情報の収集・提供を行っている。LAWAのホームページでは、国内でモニタリングを行っている湖や河川の水質の状態が確認でき、水質向上の一つの指標にもなっている「遊泳に適しているか否か」についても、国民に視覚的に分かりやすい形で公表している(図6)。
イ 地方自治体の取り組み〜ワイカト地域の事例〜
ワイカト地域は、NZ全体の3割程度に当たる3300戸の酪農家がおり、生乳生産量は、NZ全体の2割程度を占める最大の酪農地帯である。1ヘクタール当たりの乳用牛飼養頭数は、2.95頭と、カンタベリー地域の3.44頭に次いで多くなっている。ワイカト地域には、1500の湖や河川があり、中でもワイカト川は、地域を縦断する全長421キロメートルの国内最長の川である。また、国内最大の湖であるタウポ湖もあり、観光地として人気がある。しかし、前述の通り、酪農が盛んであることから、酪農場と水域が近接しており、たびたび水質汚濁が問題となってきた。
ワイカト地方自治体(Waikato Regional Council)は、資源管理法およびNPSに基づき、ワイカト地域の環境に関する規制や管理計画を作成するとともに水質基準の設定を行っており、「ワイカト地域計画(Waikato Regional Plan、以下「WRP」という)」において、農場で発生した排水の直接的な河川への放流を禁止している。そのため、酪農家は貯水池(現地では、ポンド(Pond)といわれる)を設置し、排水を一カ所に集める必要がある。貯水池は、地下水を汚染しないように、底面に加工を施さなければならない。また、一カ所に牛を集めて補助飼料を給与する場合は、そのエリアにおける排せつ物が地下に浸透しないように、地表面をビニール製のシートで覆うなどの加工を行う必要がある。
集めた排水は
圃場へ散布するが、1回の散布当たり深さ25ミリメートル(バケツなど を散布する圃場において計測)、年間の窒素 散布量が1ヘクタール当たり150キログラム を超えてはいけないとされている。これを乳 用牛100頭規模の農家を例に計算すると、すべての排水を散布するためには、3.6ヘクタ ールの農地が必要になる。そのほか、河川へ の牛の侵入、過度な取水なども禁止している。
ワイカト地方自治体は、毎月、150カ所の湖や河川の水、130カ所の土壌のサンプルの分析を実施している。また、環境負荷の少ない飼養管理を普及させるためのセミナーやワークショップの開催などを行っている。さらに、畜産農家に対し、河川付近のフェンスの設置や植林(苗木の購入代と人件費)を対象に経費の35%を補助している。ワイカト地方自治体によると、NZでは、通常、行政による生産者への金銭的な支援はあまり行われないが、環境対策に関するものは、国民全体のメリットとなることから、20〜40年ほど前から補助を行っているとのことである。
ワイカト地方自治体では、水域ごとにいくつかのエリアに区分し、優先度をつけて水質の向上に取り組んでいるが、タウポ湖周辺地域では、他の地域より厳しい規制を設けている(図7)。
タウポ湖は、周辺の酪農の拡大に伴い、汚染された河川などから流入した汚水により水質が悪化した。そのため、ワイカト地方自治体は、これ以上の汚染を防止するため、2007年に、新しい政策を講じた。
この政策における目標は、タウポ湖の窒素量を、2007年時点の水準から、15年以内に20%削減し、タウポ湖の水質を2080年までに2001年時点の水準まで戻すことである。これを達成するため、飼養密度の高いタウポ湖周辺の畜産農家
注2については、牧畜業を許可制にするとともに、年間の窒素排出許可量(Nitrogen Discharge Allowance、以下「NDA」という)を設定した。NDAは、牛の飼養頭数、牛の購入・販売頭数、肥料使用量などを基に算出されるため、農家は、牛を増頭するためには、NDAの枠内で窒素排出量を管理できていることを証明する必要があり、実質的には増頭が難しい状況となっている。また、酪農は肉用牛・羊経営に比べて飼養密度が高く、搾乳場など酪農特有の施設において排水が多く発生することから、これまで多く見られた肉用牛・羊経営からの転換も困難となっている。
なお、ワイカト地方自治体は、現在、WRPの改正作業に入っている。改正案では、小規模農家など一部の生産者を除く、ワイカト川およびワイパ川周辺のすべての生産者に対して、「農場環境計画(Farm Environment Plan、 以下「FEP」という)」の作成および提出を義務付けている。対象地域を、優先度1〜3に区分し、優先度1の地域の生産者は、2022年3月までに、優先度2は2025年までに、優先度3は2026年までにFEPを作成・提出しなければならない(図8)。
FEPでは、農場全体の写真と農場における施設の配置図、排水管理方法、河川付近の管理方法など、水質汚濁などにつながる可能性の高い場所を特定し、その場所における対策を明記する必要がある。これにより、生産者は、自分の農場のどのような場所で環境汚染のリスクがあり、どのように対策を行う必要があるかを理解、実行することができる。
なお、FEPは、まだ、法的には義務付けられていないものの、後述する乳業メーカーの取り組みなどにより、現時点でも酪農家には必要なものとして認識されている。
注2:「飼養密度が高い」とは、酪農であれば、乳用牛1頭当たり1.82ヘクタール以上の農地を所有していない、または、1ヘクタール当たりの乳用牛頭数が0.55頭以上とされている。
ウ 生産者団体の取り組み
水質汚濁が問題となり始めてから、酪農がその主な原因とされ、特に釣り業界が、2002年に開始した「デイリー・ダーティー(汚い酪農)」キャンペーンは、多くの国民に、酪農が水質汚濁の根源であるという認識を持たせることとなった。酪農業界は、そのような状況を打開するため、業界主導で、湖や河川における水質を向上させるための取り組みを行っている。現在、重要な役割を果たしているのは、2013年に開始された、「持続可能な酪農:水協定((the Sustainable Dairying Water Accord)、以下「水協定」という」である。この水協定は、生産者団体であるデイリーNZを中心に、酪農家、乳業メーカー、政府、地方自治体およびマオリ協会連盟がメンバーとなって組織した、酪農環境リーダーシップグループ(the Dairy Environmental Leadership Group、DELG)により作成され、「責任のあるパートナー(Accountable Partners)」としてデイリーNZ、NZ乳業協会および乳業メーカーが、「支援パートナー(Supporting Partners)」としてNZ農業者連盟や肥料協会などが、「協定の後援者(Friends of the Accord)」として政府の第一次産業省や環境省などが参加している(表2)。
水協定は、水辺の管理、土壌の窒素量などの管理、排水管理、水の利用管理、他産業から酪農への転換、の五つのカテゴリーについて、達成すべき目標を具体的な期限を設けて設定し、定期的に目標ごとの達成状況を報告することで、酪農業界の水質向上のための取り組みを可視化することが目的である。
2016年3月に公表された報告書によると、2016年3月末時点では、97.2%の牛が河川に近づけないよう対策を講じられている。また、搾乳などのために牛が河川を横断しなければならない場所の99.4%で、橋などが整備済みとなっている(表3)。
水質向上に関して、生産者団体であるデイリーNZの主な役割は、研究開発と情報提供である。具体的には、地域ごとに異なる環境規制に対応した飼養管理ガイドラインの作成、農場における硝酸性窒素などの管理ツールの開発、酪農家への技術指導、ホームページや酪農家向け情報誌を通じた情報提供などを行っている。
また、環境負荷の少ない経営を行っている酪農家を選定し、その農家がさらに高い水準の経営を行えるようサポートするとともに、その酪農家に関する情報をその他の酪農家に提供している。デイリーNZによると、酪農家は、他の酪農家から聞いた話をもっとも信頼する傾向にあることから、模範的な酪農家を育成し、その酪農家を通じた教育に力を入れている。
エ 乳業メーカーの取り組み
酪農家の水質管理に関しては、乳業メーカーが大きな役割を果たしている。NZで生産される生乳の8割以上を集乳するフォンテラ社では、経営戦略の中で、持続可能性を重要視している。持続可能性を、①製品を通じた健康や幸福への貢献②環境③地域コミュニティーとの共存の三つのカテゴリーに区分し、さらに、環境については、①土地と水の衛生状態および生物多様性の向上②温室効果ガスの削減③生産性向上と廃棄物の削減を通じた世界的な食料需要の増加への対応、の三つを重要事項としている。
フォンテラ社は、水協定や地方自治体との協議などを踏まえ、表4の通り独自の目標を設定し、毎年、達成状況を公表している。
フォンテラ社では、それぞれの目標を達成するために、契約酪農家に対し、環境規制の順守や環境負荷の少ない飼養管理を行うよう義務付けている。また、同社は、約1万戸のすべての契約酪農家に対して毎年監査を行っており、監査の結果、最低基準を満たしていない酪農家を、環境リスクの大きさに応じて、「危険性が低い」「危険性が高い」「重大な危険」の三つに区分している。「危険性が高い」とされた酪農家は、次のシーズンが始まるまでに改善を求められ、「重大な危険」とされた酪農家は、緊急な改善が必要な事項について、24時間以内に改善を求められる。また、最低基準を満たしていないと酪農家に対しては、具体的な対応策や達成基準を明記した、環境行動計画(Environmental Action Plan)の作成を義務付けている。
最低基準を満たしていない酪農家が、①引き続き最低基準を満たさない②環境行動計画の内容を期限内に実行しない③過去3年間に「危険性が高い」「重大な危険」のいずれかに判定されたことがある④不正確な情報を提出したのいずれかに該当する場合には、フォンテラ社職員による指導料の請求、コンサルタント会社による環境行動計画見直し費用の請求、集乳の中止などを行うとしている。
フォンテラ社は、2025年末までに、すべての酪農家が農場環境計画(FEP)を作成することを目標に掲げていることから、酪農家のFEPの作成を支援するため、環境アドバイザーの育成に力を入れている。2017年時点で17名ほどであった環境アドバイザーは、2018年は28名まで増員しており、30名まで増員することを目標にしているとのことである。
(2)温室効果ガス
ア 政府の取り組み
(ア)法令および削減目標
温室効果ガスに関しては、2002年気候変動対応法(Climate Change Response Act 2002、以下「気候変動対応法」という)において規定されている。しかし、同法は、主に温室効果ガス排出量の算出方法や排出権取引制度を定める法律であり、温室効果ガス排出量の削減について定めているものではない。温室効果ガス排出量の削減については、「気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)、以下「国連気候変動枠組条約」という)」に基づき、1997年に合意した、通称「京都議定書」および2015年に合意した、通称「パリ協定」に基づき、温室効果ガス排出量の削減目標を次の通り設定している。
●2020年までに、1990年時点の温室効果ガス排出量に比べて5%削減
●2030年までに、2005年時点の温室効果ガス排出量に比べて30%削減
(1990年時点に比べて11%削減に相当)
●2050年までに、1990年時点の温室効果ガス排出量に比べて50%削減
このように温室効果ガス削減目標については、国全体で設定していることから、政府が主体的に温室効果ガス削減に向けた取り組みを行っている。
(イ)削減目標に関する新しい動き
2019年5月8日、気候変動対応法の改正案が国会に提出され、その内容が農畜産業に大きな影響を与えると注目を集めている。改
正案では、温室効果ガス排出量の削減目標を、①生物由来のメタンと②それ以外の温室効果ガスに区分し、①については、2030年までに、2017年時点と比べて10%削減、2050年までに、2017年時点と比べて24〜47%削減、②については、2050年までに純排出量をゼロにする、と生物由来のメタンの排出削減目標が明記されている。これまで、全体の削減目標はあったものの、その内訳は示さ
れていなかったが、生物由来のメタンに限定して削減目標が設定されたことで、最もメタン排出量の多い酪農業界が受ける影響は大きいものとみられている。なお、2019年末までには改正案が成立すると見込まれており、今後の動向が注目されている。
(ウ)削減のための対策
温室効果ガス排出量の削減は、国際協定に基づき行う必要があることから、国が主体的に排出権取引制度を通じた排出量管理などに関与している。しかし、農畜産業は温室効果ガス排出量の半分近くを占める一方、排出権取引制度の対象となっていないことから、各種の対策が講じられている。
ビジネス・イノベーションおよび雇用省は、酪農業界、肉用牛・羊業界、フォンテラ社、肥料協会など、牧畜に関係する業界団体により2003年に設立された、牧畜温室効果ガス研究共同体(Pastoral Greenhouse Gas Research Consortium、以下「PGgRc」という)の研究に対して、補助を行っている。PGgRcでは、主に、メタンと亜酸化窒素の削減方法の研究を行っている。
第一次産業省は、PGgRcの研究を補完し、メタンと亜酸化窒素以外の農場における温室効果ガスの削減方法の研究を行うため、ニュージーランド農業温室効果ガス研究センター(New Zealand Agricultural Greenhouse Gas Research Centre、以下「NZAGRC」という)を2009年に設立した。そのほかにも、さまざまな温室効果ガス削減に関する研究に対して補助を行っている。現在の研究で酪農における温室効果ガス排出量の削減に有効と考えられている対策は、生乳生産の生産性向上、窒素肥料使用量の最適化、メタン排出量の少ない遺伝子を持つ家畜の改良、メタンの発生を抑える反応抑制物質やワクチンの開発などがあるとしている。OECDによると、NZでは、研究開発への投資額に占める環境分野の割合が10%近くを占めており、先進国の中でもっともその割合が高いという。
また、第一次産業省は、温室効果ガスを吸収する森林に着目し、林業省と共同で、2018年より、「10億本植林事業(One Billion Trees Program)」を進めている。この事業では、2028年までに10億本の木を植えることを目標としており、植林に要する経費を補助するため、1億2000万NZドル(92億4000万円)の基金を設立した。農地における植林は、温室効果ガスの吸収だけでなく、牛の河川への侵入防止、水質汚濁の防止、土壌侵食の防止など、多くのメリットがあるとしている。
イ 生産者団体の取り組み
環境省によると、国内で排出される温室効果ガスの48%は農畜産業から排出されており、そのうち36%は家畜由来の温室効果ガスが占めている。基幹産業である酪農は、家畜由来の温室効果ガスの半分、国全体では約2割を占めており、温室効果ガス削減における重要な役割を担っている(図9)。
そのため、酪農業界では、デイリーNZが主体となり、フォンテラ社との連携の下、2017年6月、「気候変動に向けたデイリー・アクション(Dairy Action for Climate Change、以下「デイリー・アクション」という)」を立ち上げた。デイリー・アクションは、家畜から排出されるメタンと亜酸化窒素に対処するための酪農業界の枠組みを提供し、2005年時点の温室効果ガス排出量から30%削減という2030年の目標達成に貢献することを目的としている。
デイリー・アクションの中で、デイリーNZは、2017年7月から2018年11月の間に以下の取り組みを計画している。
● 専門家による気候変動に関するワークショップを8回開催する。
● 気候変動に関して優秀な酪農家を12名選定する。
● デイリーNZの専門家を交え、グループディスカッションを6回開催する。
● 大学における温室効果ガスに関する講義を通じて、60名の専門家を育成する。
● 酪農家における温室効果ガス削減につながる生産システムを特定する。
● 10戸の協力酪農家を選定する。
このように、酪農家への温室効果ガスに関する知識の普及、酪農家を支援するための専門家の育成、模範となる酪農家の選定・育成に力を入れている。また、その他に、PGgRcにおける研究開発に対して資金提供を行い、酪農における温室効果ガス削減のための調査・研究などを実施している。なお、デイリー・アクションの達成状況は、まだ公表されていない。
デイリーNZでは、気候変動対応法の改正案で、生物由来のメタン排出量の削減目標が明記されたことから、今後の対応方針を軌道修正する必要があると考えている。デイリーNZは、今回の改正案に対し、メタン排出量の削減目標を定めること自体には賛成であるものの、パリ協定の目標を達成するためには、メタン排出量の削減は10〜20%で十分であるという研究結果もある中で、それを上回る目標を設定するには、科学的根拠が必要であるとしている。また、2030年までに10%削減することは、現在考えられる対応策を講じれば達成可能であるものの、2050年の24〜47%削減という目標は、革新的な技術が開発されない限りは、乳用牛の頭数を削減する以外達成不可能な目標であるとしている。
ウ 乳業メーカーの取り組み
フォンテラ社では、自社の乳製品製造・販売により発生する温室効果ガスに関しては、①2020年までに、乳製品製造に係る製品重量1トン当たりのエネルギー使用量を、2003/04年度比で20%削減する ②温室効果ガスの排出量を、2030年までに2014/15年度比で30%削減、2050年までに純排出量を0%にする、と目標を設定している。
また、同社では、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減を目指しており、酪農家における温室効果ガスについても、2030年まで、2014/15年度の排出量の水準を維持するとの目標を掲げている。この目標を達成するため、同社では、デイリーNZが主導する「デイリー・アクション」プログラムの一環で、100戸以上の酪農家を選定し、農場における温室効果ガスの排出量を記録する取り組みを試験的に実施している。この取り組みは、まだ開始して間もないことから、最初の目標として、収集・提供すべきデータを検討し、次に、温室効果ガス削減のための飼養管理技術の指導を受けた農家で得た知見を、他の農家に共有することを目標としている。すでに、試験農家から提供されたデータを活用し、試験農家ごとの1ヘクタール当たりの年間温室効果ガス排出量を計算し、それをさらに、メタンと亜酸化窒素とその主な発生源まで細分化した形で、試験農家に情報提供している(図10)。
また、フォンテラ社では、乳用牛の温室効果ガスの排出削減方法を研究するため、PGgRcに対して継続的に資金提供を行っている。
また、フォンテラ社も、デイリーNZ同様、気候変動対応法の改正案で、生物由来のメタン排出量の削減目標が明記されたことを受け、今後の対応方針を軌道修正する必要があるとしている。