中国向けが大幅増も、ロシア向けの輸出停止が響く
ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2018年の豚肉輸出量は、前年比7.1%減の55万402トンと前年をかなりの程度下回った(表7)。
この要因は、2017年まで最大の輸出先であったロシア向けが大幅に減少したことにある。ロシアは、2017年12月から、2018年10月末まで、ブラジル産牛肉および豚肉から、同国が使用を禁止している成長促進剤のラクトパミンが検出されたとして、輸入を停 止していた。11月以降輸出が再開されたものの、一部パッカーからの輸出は未だ停止されていることから、同97.4%減と、ブラジル豚肉輸出市場に大きな打撃を与える結果となった。
一方、輸出先別に見ると、第1位の中国向けは、同218.8%増の15万5914トンと、大幅に増加し、過去最高を記録した。これは、中国において、2018年4月と6月にそれぞれ25%の追加関税が課された米国産の輸入が大幅に減少したことによる代替需要が背景として挙げられる。なお、2018年は下半期に向けて為替がレアル安で推移したこと等により輸出単価が下落したこともあり、ロシアを除くほぼ全ての国向けの輸出量が増加した(図8)。
こうした中で、2019年1〜5月の豚肉輸出量は、前年同期比19.0%増の24万7413トンとなった。これは、引き続き中国からの需要が旺盛であることに加え、昨年実績がほとんどなかったロシア向けが回復していること が要因として挙げられる。
2019年の生産量は増加見込み
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2月27日、2019年におけるブラジルの豚肉生産量を前年比4.0%増の391万5000トン(枝肉重量ベース)と予測した(図9)。この要因として、2017年以降国内経済の回復により国内需要が高まっていることに加え、輸出需要も堅調に推移していることを挙げている。また、肉豚の生産コスト指数を見ると、 飼料原料となるトウモロコシの豊作を背景に、2018年5月をピークに下落している一方、国内取引価格は、上記の理由から過去最高水準で推移していることから、今後、生産者の増産意欲はさらに増してくる可能性がある(図10、11)。
(調査情報部 柴ア 由佳)