5月の生乳生産量は、前年同月並みに回復
2018/19年度(6月〜翌5月)の生乳生産量は年度当初から順調に推移したが、夏場の乾燥気候により牧草の生育状況が悪化し、3〜4月には1年ぶりに前年同月比でマイナスに転じ、それぞれ同8%台の減とかなりの程度減少した。ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2019年5月の生乳生産量は、86万8000トン(前年同月比0.1%減)と前月までの落ち込みから前年同月並みに回復した(図14)。
2018/19年度の生乳生産量、最終的に前年度実績を上回る
この結果、2018/19年度の累計生乳生産量は、年度後半に前年同月実績を下回る月があったものの、最終的に2184万5000トン (前年度比2.2%増)と前年度実績を上回り 順当な結果となった。直近10年間の生乳生 産量の推移を見ると、15/16年度以降停滞 していたが、18/19年度は14/15年度に次 ぐ生産量となった(図15)。
5月の乳製品輸出量、全粉乳および脱脂粉乳は前年同月を大幅に上回る
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2019年5月の乳製品主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表10、図16)。
全粉乳については、前年同月比28.3%増の11万8000トンと4月に続き大幅に前年同月を上回った。特に最大の輸出先である中国向けが同57.4%増となった。中国向けについては、2018年12月以降前年同月を上回 って推移しており、2018/19年度(7月〜翌6月)の輸出増につながっている。
脱脂粉乳は、同19.7%増の2万6000トンと大幅に増加した。18/19年度は、国際需給の回復に伴い1月以降前年同月を上回って推移しているが、年度前半の輸出が低調だったため、5月までの輸出量は前年同期比5.6%減となっている。
一方、バター類は、全粉乳や脱脂粉乳と対照的に前年同月比11.0%減の3万7000トンとなった。国別で見ると、米国及び日本向けが増加したものの中国向けが減少したため、4月に続き前年同月を下回った。
5月の主要4品目の合計は、前年同月を上回り、これまでの順調な生乳生産や国際需給の改善等を背景として輸出量は回復してい る。
乳製品国際価格、主要4品目とも下落
2019年6月18日に開催された、乳製品の国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表11、図17)。前回開催(6月4日)時と比較すると、主要4品目とも前回の価格を下回った。
全粉乳価格については、4月以降下落傾向で推移し、前回比4.2%安のトン当たり3006米ドル(32万8000円)となった。
脱脂粉乳は、前回に続き下落し、同3.2%安の2358米ドル(25万7000円)となった。
また、バターは、需給緩和を背景として4月をピークに下落に転じ、今回は同5.2%安の同4553米ドル(49万6000円)となった。
このように、全般的に価格が下落傾向で推移した結果、価格水準が過去の実績と比べて割高感がなくなったため、いずれの品目も取引数量が前回より増加した。
(調査情報部 井田 俊二)