農林水産省は令和元年7月2日「畜産統計調査」の結果を公表した。これによると、平成31年2月1日現在の乳用牛飼養戸数は、全国で1万5000戸となり、前年に比べ、700戸(前年比4.5%減)減少した(表4)。乳用牛飼養戸数は近年高齢化や後継者不足に伴う廃業などにより、一貫して減少傾向で推移している。
これを飼養頭数規模別に見ると、1〜19頭が前年比0.3%増、100頭以上が同3.1%増となったが、その他の階層では減少となった。特に、20〜29頭及び80〜99頭は、前年からそれぞれ250戸、196戸の減少となっており、前年からの減少率が10%を超えている。
全国農業地域別に見ると、北海道では、5970戸(同2.8%減)、都府県では、9070戸(同4.9%減)と、全ての地域で前年に比べて減少した(表5)。
都府県では、前年の調査で1万戸を割り込んでおり、高齢化や後継者不足などの問題に加えて、用地確保の難しさや環境対策などが、経営継続の制約要因となっていることが考えられる。
全国の乳用牛の飼養頭数は133万2000頭となり、前年から4000頭(前年比0.3%増)増加し、2年連続で前年を上回っている。
飼養戸数が減少する一方、飼養頭数は増加していることから、全国の一戸当たりの飼養頭数は、前年から4.2頭増(同5.0%増)の88.8頭となった。地域別に見ると、北海道が134.2頭(同4.2%増)、都府県が同58.5頭(同4.0%増)となっている。
なお、一戸当たり80頭以上規模の酪農家は全国で20%程度にとどまるが、飼養頭数は約53%に当たる68万2000頭を飼養している。
2歳未満の飼養頭数が増加、今後の生乳生産量上向きに期待
直近1年間(平成30年2月〜平成31年1月)の乳用牛からの子牛出生頭数は、69万1100頭となった。内訳を見ると、乳用種めすが26万5800頭(シェア38%)、乳用種おすが18万6100頭(シェア27%)、交雑種が23万9300頭(シェア35%)となり、2年連続で乳用種めすの頭数が交雑種の頭数を上回った(図18)。乳用種おすの出生頭数は、性判別精液の利用割合の増加などにより、一貫して減少傾向で推移している。
上記の通り、乳用種めす子牛の出生頭数が増加傾向にあることから、2歳未満の乳用種めす牛の頭数が46万8900頭(前年比4.9%増)と増加している。地域別には、北海道では3年連続、都府県では2年連続となっている。一方で2歳以上の飼養頭数は、86万2700頭(同2.1%減)となっており、特に、都府県においては、減少が続いているため供用年数の延長などによる頭数の確保が重要な課題であるといえる。
(酪農乳業部 山北 淳一)