米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は2019年6月11日、2019/20年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給見通しを公表した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである。
生産量は、前例のない作付けの遅れ
(注1)に より、作付面積、収穫面積、単収のいずれも前回予測値から下方修正された結果、前年度比5.1%減の136億8000万ブッシェル(3億4747万トン
(注2))と、5月時点での増産見込みから一転して減産見込みに転じた(表15)。もしこの通りとなれば、同年度の米国のトウモロコシ生産量は2016/17年度以降で最小となる。
消費量は、飼料等向けが減産見込みに転じたことから、同0.8%減の121億ブッシェル(3億734万トン)と予測されている。
輸出量は、ブラジル産、アルゼンチン産との競合の影響により、同2.3%減の21億5000万ブッシェル(5461万トン)と予測 されている。
期末在庫は、生産量の減少に伴い大幅に下方修正され、同23.7%減の16億7500万ブッシェル(4255万トン)と、大幅に取り崩される見込みとなっている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.80米ドル(1キログラム当たり16.3円:1米ドル=109円)と見込まれている。
(注1)主産地のコーンベルトでの天候不順や、現地報道によると、3月中旬のミシシッピ川流域で起きた、豪雨、降雪 および急激な雪解けによる歴史的洪水被害により、トウモロコシの作付けに遅延や中止がみられている。また、USDAによると、6月9日現在の主要18州の作付け進捗率は83%、発芽率は62%と、それぞれ前年同時期を16 ポイント、31ポイント下回る低水準であった。
(注2)1ブッシェルを25.4キログラムとしてALICが換算。
(調査情報部 藤原 琢也)