牛飼養頭数は前年並みも、後継牛は減少
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2019年7月19日に公表した「Cattle」によると、7月1日時点の牛総飼養頭数は、2015年以降増加傾向にあり、2019年は、前年並みの1億300万頭と2009年以降で最大となった。この要因としては、国内外の堅調な需要や安定して推移した飼料価格などが背景にあったとみられる(表1)。
内訳を見ると、繁殖雌牛(経産牛)が前年比0.2%減の4170万頭、子牛が同0.7%減の2810万頭と前年を下回ったものの、未経産牛が同0.6%増の1640万頭、去勢牛が同14%増の1470万頭と前年を上回った。さらに未経産牛の内訳を見ると、肉用繁殖後継牛は同4.3%減の440万頭、乳用繁殖後継牛は同2.4%減の410万頭と前年を下回ったものの、その他(フィードロットなどで肥育されている牛)は同5.3%増の790万頭と前年を上回った。
と畜に占める雌牛の割合が増加
USDA/NASSが2019年7月25日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2019年1〜6月(上半期)の牛と畜頭数は、前年同期比1.3%増の1650万7400頭となった。内訳を見ると、去勢牛は同2.4%減の824万8000頭となった一方、未経産牛は同7.2%増の479万2300頭、肉用経産牛は同1.9%増の154万7500頭となった。
また、上半期の牛と畜頭数に占める雌牛の割合は48.5%となり、前年同期を2.0ポイント上回った(図1)。なお、一般的に本割合が47%を超えると繁殖雌牛頭数が減少傾向になるとされている。
このような状況について、現地業界紙では、総飼養頭数が前年並みである中、繁殖後継牛の飼養頭数が減少し、雌牛のと畜頭数も増加 していることは、繁殖経営の増頭意欲が鈍化 していることを示しており、近年の牛群拡大傾向が一服し、キャトルサイクルの拡大が終盤に差し掛かっている状況にあると報じられている。
(調査情報部 藤原 琢也)