エコマネジメントは産業廃棄物処分業に許可、飼料製造業と飼料販売業に認可されている。自社牧場(エコフィード実証牧場)も有しており、肉用牛生産にも積極的に取り組んでいる(写真1)。自社牧場における令和元年7月時点での飼養頭数は、繁殖雌牛27頭、繁殖用育成・子牛10頭、肥育牛4頭、肥育用子牛2頭、預託された頭数が5業者からの肥育牛44頭である。
平成29年度の実績として、エコマネジメ ントが取り扱った食品残さ3700トンを原料としてエコフィードが584トン製造され、このうち558トンが販売、自社牧場に約26トン供給された。
エコマネジメントが取り扱う食品残さの受け入れ実績は表1に示される通りである。数量はお茶類、おから、梅類が多く、供給元は梅類とみかんが多くなっている。後者については、和歌山県は近年、梅とみかんの収穫量が全国1位であり、これらを原料とした食品製造業者も多く立地していることが影響しているであろう。写真2は食品製造業者から供給される梅の種とみかんのしぼりかすである。
エコマネジメントのエコフィード販売実績は表2の通りである。数量ベースでは、乳酸発酵サイレージ(おから)、繁殖和牛用配合 飼料が多くを占め、金額ベースでは繁殖和牛用配合飼料が最も大きくなっている。商品のうち、魚粉配合飼料は採卵鶏経営に、それ以外は肉用牛経営に販売されている。製造された飼料のうち繁殖和牛用配合飼料3トン、高級肉試験用エコフィード1トン、赤身試験用エコフィード1.5トン、繁殖和牛用エコTMR飼料20トンは自社牧場での利用に仕向けられている(写真3)。
エコマネジメントが直面する問題として、近隣では繁殖和牛の飼養頭数が少ないこと、製造が少量であるために一単位当たりの製造費用が高くつくこと、サイレージを製造するための手間がかかること、現状の配合飼料より低価格でなければ売れないことが挙げられている。繁殖和牛向けの飼料だけでは利益が確保できないため、肥育牛向け飼料・TMRの開発にも取り組んでいる。
エコマネジメントの販売先であり、同社のエコフィードの開発にも協力してきた和歌山県の野嶋牧場を調査した。同牧場は、経営主の野嶋良臣氏と父の2名により、平成29年末時点では繁殖雌牛41頭、育成牛(繁殖仕 向け〜種付)1頭、子牛(出生〜出荷・仕向け)26頭を飼養するとともに、10アールで飼料生産を行っている(写真4)。
29年の繁殖雌牛1頭に対する1日当たり給与量は、対照区がエコマネジメントからの乳酸菌発酵サイレージ(おから)が0.6キログラム(1キログラム当たり7円)、繁殖和牛用配合飼料が3.2キログラム(同12円)、エコ マネジメント以外から購入したライグラスストローが4.4キログラム(同39.5円)、試験区が繁殖和牛用エコTMRを10.4キログラム(体重450キログラムで想定、妊娠末期3キログラム、授乳期6キログラム増量、試験中のため無償提供)である。
エコマネジメントのエコフィード飼料については、原料の一つであるみかんのしぼりかすの水分量に応じて、エコフィードを長期保存すると水分が増すことから給与量の調整が困難となることが課題として挙げられた。