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海外の需給動向【豚肉/カナダ】 畜産の情報 2019年9月号

中国向け輸出が停止された中、政府は業界への支援を公表

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1〜5月の豚肉輸出量の4割は中国
 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2019年5月の豚肉輸出量は前年同月を0.5%減とわずかに下回る8万7701トンとなった(表3)。同月の輸出量を国別にみると、中国向けが3万4317トン(前年同月比73.1%増)と、前年同月を大幅に上回り、同月の総輸出量に占める割合は4割に達した。一方、他の主要輸出先向けは軒並み前年同月を下回った。2019年1〜5月の輸出量をみても、総量としては前年同期比2.1%増とわずかに上回ったものの、中国およびメキシコを除く主要輸出先向けは総じて前年同期を下回る水準であった。
 

 中国は2018年11月以降、7カ月連続で最大輸出先となっている(図4)。この点に関 して、現地の報道情報や業界紙では、中国において、米国産豚肉に追加関税が課されていることから、カナダ産豚肉の引き合いが強かったことが一因とみている。
 

6月末に中国向け食肉輸出を停止
 ところが、好調な中国向けカナダ産豚肉輸出に水を差す動きが相次いでいる。中国は4月末、書類の不備を理由にカナダの2カ所の食肉処理施設の中国向け輸出認定を取り消した。続いて、6月には成長促進剤であるラクトパミンの残留を理由にさらに1カ所の食品貯蔵・輸送施設の中国向け輸出認定を取り消 した。在カナダ中国大使館によると、その後にカナダ側が実施した調査によって、最終的に188件の偽造検査証明書が中国当局に提出されていたことが発覚したとされている。こうした背景から、同大使館はカナダの食肉輸出の監視体制に大きな過失があると判断し、6月25日、カナダに対し中国向け食肉輸出を一時停止するよう要請した。これを受けて、カナダ食品検査庁(CFIA)は同日、中国向け牛肉・豚肉輸出に係る輸出許可証明書の発行を停止した。

カナダ政府、豚肉輸出促進団体に600万カナダドルを供与
 カナダ農務・農産食品省(AAFC)は7月25日、豚肉の輸出市場の多様化と重要市場での成長のための資金として、豚肉輸出促進団体であるカナダ・ポーク・インターナショナル(CPI)に対し最大600万カナダドル(5億400万円:1カナダドル=84円)を供与すると公表した。マリークロード・ビボー農相は、「カナダの豚肉産業は、カナダ経済に240億カナダドル(2億160万円)の貢献をしている。今回の資金供与は、カナダ産の高品質な豚肉の国際的需要をさらに拡大し、生産者に新たな機会を提供することで、新たな貿易協定がもたらす優位性を完全に享受できるようにするものだ」と述べた。AAFCによると、この政府資金は、豚肉産業の市場機会に関する知識を深め、販売促進の取り組みを強化し、潜在的バイヤーとの接触を促進するとともに、冷蔵豚肉の輸出機会を拡大させることを支援するものとされている。
 現地報道によれば、この発表を受けてCPI のマーティン・ラヴォア会長兼CEOは、「この資金は、CPIの成長と国際的な需要創出プログラムを支持するとともに、CPIの会員による販売開発努力も支援することになる」と歓迎のコメントを述べた。
 
(調査情報部 野田 圭介)