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海外の需給動向【豚肉/チリ】 畜産の情報 2019年9月号

1〜5月の輸出量は大幅に増加

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豚肉生産量は前年同期比1.2%増
 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2019年1〜5月の豚肉生産量は、前年同期比1.2%増とわずかに増加し、22万2718トンとなった(図5)。と畜頭数は同4.0%増の221万3140頭とやや増加したが、1頭当たり枝肉重量が同2.7%減の100.6キログラムとわずかに減少したことから、生産量はわずかな増加にとどまった。
 

 と畜頭数は、2018年10月以降、前年同月を上回って推移している(図6)。これは、各社が繁殖成績の向上などに注力していることに加え、大手企業が導入している種豚の遺伝的改良が進んでいることが背景にあると考えられる。
 

 一方、1頭当たり枝肉重量の減少については、関係者によれば、増加すると畜頭数にパッカーが対応するため、出荷日数の調整が行われたことが要因の一つとして考えられるとのことだが、生産量自体は、2018年1月から2019年5月までおおむね増加傾向で推移している。

輸出量は大幅に増加
 2019年1〜5月の豚肉輸出量(冷蔵・冷凍)は、前年同期比19.6%増の7万1731トン(製品重量ベース)と、大幅に増加した(表4)。
 

 最大の輸出先である中国向けは、堅調な国内需要を背景に、同40.8%増と大幅に増加した。
 また、ロシアは、主要輸入元であったブラジルからの輸入を衛生上の問題により2017年12月から18年10月まで停止していたことから、2018年は、その代替としてチリからの輸入を増加させていた。2018年11月以降、ブラジル国内の一部施設において輸出停止措置は解除されたものの、同国からロシアへの輸出は2017年以前の水準に回復していないことから、2019年に入ってからもチリ産の引き合いは強まっている。

輸入量は内需が堅調で大幅に増加
 2019年1〜5月の豚肉輸入量(冷蔵・冷凍)は、ハムやソーセージなどの国内需要が堅調なことから、前年同期比55.4%増の4万2639トン(製品重量ベース)と、大幅に増加した(表5)。国別に見ると、飼料原料となるトウモロコシの豊作を背景とした生産コスト減や、中国などへの輸出需要が増加していることにより生産量を伸ばしているブラジルからの輸入が、同61.2%増と大幅に増加 した。また、米国からの輸入も、2004年に米国とチリの間で締結された自由貿易協定によりチリ向け豚肉の関税が2015年1月に撤廃されて以降、増加していることに加え、同国内の飼養頭数が記録的水準であり、生産量が前年を上回って推移していることを背景に、前年同期比98.5%増と大幅に増加している。
 チリでは近年、ブラジル産などの安価な輸入品を国内需要に仕向ける一方で、国内産を積極的に輸出に仕向ける動きが進んでいるとされていることから、今後も輸入量は堅調に推移していくことが見込まれている。
 
 
(調査情報部 柴ア 由佳)