上半期豚肉輸出量は前年同月比微減
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2019年8月5日に更新した「Livestock and Meat International Trade Data」によると、2019年6月の豚肉輸出量は22万6312トン(前年同月比9.3%増)と前年同月をかなりの程度上回った(表5)。輸出先別にみると、最大の輸出先であるメキシコは6万724トンと、今年に入ってからの最多を記録したものの、前年同月を1.8%下回った。また、第2位の輸出先である日本も4万4405 トンと前年同月を2.4%下回った。一方、中国/香港向けは前年同月の約2.5倍となる3万2848トンとなり、2018年5月以降の最多を記録した。
上半期(1〜6月)の輸出動向を輸出先別 にみると、中国/香港向けが前年同期を大幅に上回る水準であった一方、メキシコ向けは同国が米国産豚肉に課していた追加関税の影響で前年同期比2割減となったことから、全体としては同1.8%減の135万1898トンとなった。
第3四半期以降の豚肉輸出見通し
メキシコが米国産豚肉に課していた追加関税は5月半ばに解除されたことから、同国向け豚肉輸出量は増加傾向で推移している。加えて、前述の通り、中国/香港向け豚肉輸出量は前年同期を上回る水準で推移している。しかし、中国の主要豚肉輸入元はEUやカナダであり、同国の豚肉輸入量のうち米国産が占める割合は1割に満たない。
USDAは、こうした中、EUやブラジルといった主要豚肉輸出国がアフリカ豚コレラ発生に伴って豚肉輸入量を増加させている中国市場に注力している状況において、その他の豚肉輸入国にこそ米国の豚肉輸出増の機会があると見込んでいる。
このようなことから、USDAは今後の米国産豚肉輸出量が増加傾向で推移するとして、2019年第3四半期は70万トン(前年同期比19.0%増)、第4四半期は87万5000トン(同25.2%増)と見込んでいる。
生体豚価格が急騰
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2019年8月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2019年7月の豚肉生産量は100万3000トン(前年同月比11.3%増)となり、7カ月連続で前年同月を上回って推移した(図6)。このように堅調な生産が続く中、国外の豚モモ肉需要増などによりパッカーによる肥育豚の引き合いが増加していることから、生体豚価格は7月以降に急上昇し、8月(速報値)は100 ポンド当たり51米ドル(同34.6%増)となった。
(調査情報部 野田 圭介)