鶏肉小売価格は上昇
2018年8月以降アフリカ豚コレラが続発していることにより鶏肉需要が高まったといわれており、鶏肉小売価格も上昇している。2019年8月は、1キログラム当たり21.6元(328円、1元=15.2円)と前年同月と比べて14.4%上昇した(図13)。
ヒナ価格も上昇
鶏肉需要が高まったことにより、2018年8月以降肉用鶏のヒナ販売価格は上昇傾向で推移している。2019年6月に一時下降したものの、8月には再び上昇し、1羽当たり4.8元(73円)となった(図14)。
これは、英国や米国で鳥インフルエンザが発生していることにより両国からの家きん類の輸入を禁止しているため、種鶏の輸入が制限されていることも一因である。中国国内でも種鶏は生産されているものの、供給が追いつかずヒナ価格が上昇していると考えられる。このような中、中国政府は、3月にフランスを鳥インフルエンザの発生がない国と認め、フランスからの家きん類の輸入を解禁した。現地報道によると、2019年下半期には種鶏が輸入される可能性があり、増産の助けとなることが期待されている。
生産量および消費量はともに増加
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は鶏肉需給のレポートを発表し、鶏肉生産量および消費量の予測量を上方修正した。
2018年の生産量は1170万トンであったが、2019年は1380万トン、2020年は1580万トンまで増加するとしている。また、消費量は、2020年には1596万トンと2018年と比べて37.7%増加すると予測している(表13)。
鶏肉輸入量は大幅に増加
中国の鶏肉生産量は増加傾向にあるものの、国内需要を満たすまでにはなく、輸入は増加を続けている。2019年1~6月は、27万5000トンと前年同期と比べて39.4%増加している。特に、2018年3月に輸入を解禁したタイからの伸びが大きい(表14)。
中国は従来、手羽やもみじ(鶏足)の輸入が多かったが、2019年に入り骨付き肉の輸入が増加している。
2018年の中国の輸入冷凍鶏肉の内訳をみると、手羽が43%、もみじが32%を占め、骨付き鶏肉は14%であった。2019年になると、手羽が36%、もみじが25%まで減少した一方、骨付き鶏肉は30%まで増加しており、鶏肉需要の高まりがうかがえる(図15)。
(調査情報部 寺西 梨衣)