令和元年8月の生乳生産量は、59万5598トン(前年同月比1.8%減)となった。地域別に見ると、北海道は34万827トン(同0.3%増)と前年をわずかに上回る一方、都府県は25万4771トン(同4.5%減)とやや減少となった。8月は急激な気温の上昇により、北海道でも上旬に乳量が大きく減少し、また、都府県では全地域で前年同月を下回り、平成28年3月からの長期にわたる減少傾向が継続している(図18)。
8月の用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けが33万1504トン(同0.5%減)と5カ月連続で前年同月を下回った。また、乳製品向けも、26万338トン(同3.3%減)と減少に転じ、脱脂粉乳・バター等向けは11万7213トン(同4.6%減)となっている。
令和元年度、生乳生産量はほぼ横ばいの見通し(Jミルク)
一般社団法人Jミルクは10月4日、「2019年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」を公表した。これによると、令和元度の生乳生産量は731万8000トン(前年度比0.5%増)、このうち、北海道が406万6000トン(同2.5%増)、都府県が325万2000トン(同1.9%減)と見通している(表)。
都府県では、7月の生乳生産は、長く続いた梅雨寒が暑さに弱い乳用牛にプラスに影響し、ほぼ前年並みとなったが、8月は高温と昨夏の記録的な猛暑による繁殖や分娩への影響などから関東を中心に生乳生産が落ち込んだ。なお、関東では、台風15号による停電の影響で生乳廃棄が発生したことから、9月の生乳生産も8万4382トン(同3.6%減)とやや減少すると見込んでいる。
以上のような状況を踏まえ、令和元年度の生乳生産量の見通しは、前回見通し(7月31日公表)に比べ、北海道ではやや増加する一方で、都府県では減少幅が拡大し、全国では横ばいとなり、前回同様、全国では4年ぶりの増産が見込まれている。
また、Jミルクは、令和元年度における用途別処理量について、飲用等向けが前回見通しから0.3%減の406万8498トン(前年度比0.3%減)となる一方で、乳製品向けは前回の見通しから0.3%減となるも320万3504トン(同1.6%増)と増加するものと見込んでいる。うち、脱脂粉乳・バター等向けは154万6867トン(同4.2%増)と前回見通しから0.7%の増加を見込んでいる。
農林水産省、令和元年度の脱脂粉乳輸入枠を見直し
農林水産省は10月4日、令和元年度の輸入枠数量(バター2万トン、脱脂粉乳2万トン)の検証結果を発表した。バターについては、十分な在庫があることに加え、今後も定期的な入札により需要に応じた計画的な輸入がなされ、需給は安定的に推移する見込みであるとして、輸入枠は変更しないとした。一方、脱脂粉乳については、在庫が実需者の必要在庫水準を大幅に超過している中で、消費量は減少傾向で推移しており、今後とも需給の緩和傾向が続く見込みであることから、輸入枠数量を6000トン減の1万4000トンに見直すとした。
(酪農乳業部 廣田 李花子)