令和元年9月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、1キログラム当たり179円と前月から29円上昇した(図19)。
鶏卵相場は、例年、不需要期の夏場に低下し、気温の低下とともに最需要期の12月に向けて上昇する傾向にある。本年は9月上旬まで、家計消費などの需要が好調である一方、供給過多の状況が続いていたことから、相場は軟調に推移していた。しかし、9月中旬以降、気温の低下に伴う需要増に加え、成鶏更新・空舎延長事業による生産調整、主要産地である千葉県などでの一部鶏舎の台風被害などによる供給減から、相場は上昇傾向で推移している。
今後について、供給面では、採卵用めすひなのえ付け羽数は前年同月を下回って推移しており、え付け羽数の増減は、え付けから産卵開始までの約5カ月後から少しずつ生産量に影響が出てくるものとされていることから、当面の間は生産量の減少が続くとみられる(図20)。需要面では、家計消費など好調な消費が続く中、さらなる気温の低下に伴いおでんやすき焼きなどの季節需要の増加が見込まれる。一方で、気象庁の長期予報では、今冬の気温が平年より高い確率は40%と見込まれており、気温の影響を受けやすい季節需要の動向が注視される。
(畜産振興部 河村 侑紀)