ご承知の通り畜産分野における一つの大きな課題に、労働時間が長い、特に酪農経営では製造業に比べて約1割多いことから、働き方改革の観点でも省力化が必要な状況になっております。
農林水産省全体としては、畜産クラスター事業などによる機械導入や施設整備、農林水産技術会議事務局が実施する研究開発などの予算措置がありますが、今回は、あまり知られていない事業を紹介したいと思います。
畜産振興課が実施している畜産経営体生産性向上対策という予算額30億円の事業で、通称「畜産ICT事業」というものがあります。搾乳ロボットについては、労働時間の削減、軽労化に大きな効果がありますが、
繋ぎ牛舎に対応する搾乳ロボットが普及していません。日本の場合、繋ぎ飼い牛舎が8割を占めており、この飼養形態に対応した搾乳ロボットが求められています。そこで、日本には、まだ導入されていなかった「繋ぎ牛舎」に対応する搾乳ロボットが、カナダで開発されていたことから、本年度から導入調査をしており、実際の導入に向け課題等を明らかにしていこうとするものです(写真)。
次に紹介するのは、農林水産技術会議事務局の戦略的プロジェクト研究推進事業です(図4)。搾乳ユニット自動搬送装置、製品名「キャリロボ」は、「繋ぎ牛舎」において省力化を図るために有効な機械として導入が進められていますが、さらなる機能向上が課題となっており、今年度からの5年間で機能の高度化を図るための研究を始めました。具体的には、搾乳ユニットを改良して、搾乳ロボットのように分房別に搾乳し、搾乳が終わったらユニットが自動で外れ、作業時間と労働負荷の低減効果を図るものです。