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海外の需給動向【牛肉/豪州】  畜産の情報 2019年12月号

牛肉輸出・生体牛輸出ともに増加

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成牛と畜頭数、17カ月ぶりに前年同月を下回る
 豪州統計局(ABS)によると、クイーンズランド(QLD)州およびニューサウスウェールズ(NSW)州で発生している干ばつにより増加していた成牛と畜頭数は、2019年8月は74万1000頭(前年同月比1.2%減)と、17カ月ぶりに前年同月を下回った(図4)。と畜頭数の内訳を見ると、雄牛は33万頭(同6.6%減)と10カ月連続で前年同月を下回った一方、雌牛は41万1000頭(同5.7%増)と21カ月連続で前年同月を上回った。と畜頭数全体に占める雌牛の割合は、55.5%と9カ月連続で50%を上回っており、繁殖雌牛の淘汰による牛群縮小傾向は継続している。
 
 
 1頭当たり枝肉重量は、比較的重量の軽い雌牛の増加に伴い281.4キログラム(同1.7%減)とわずかに減少し、同月の牛肉生産量(枝肉ベース)は、20万8482トン(同1.9%減)となった。

牛肉輸出量、中国向けが大幅に増加
 豪州農業省(DA)によると、2019年9月の牛肉輸出量は、10万5372トン(前年同月比14.9%増)と、前年同月をかなり大きく上回った(表5)。
 2019年1〜9月までの累計では、89万5775トン(前年同期比6.6%増)と、干ばつによる牛肉生産量の増加および輸出需要増によりかなりの程度増加した。
 


 主要輸出先別に見ると、ASF(アフリカ豚コレラ)発生に伴い牛肉への代替需要が増大している中国向けは、20万853トン(同72.9%増)と最も増加しており、最大の輸出先である日本向けに迫る勢いである。月別では、7月から3カ月連続で、日本を上回り輸出量第1位となっており、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、今後も春節(2020年1月)の需要増に対応するための在庫強化の可能性などの増加要因があるとしている。3番目の輸出先である米国向けも、同国の牛肉消費が好調であることなどにより堅調に増加した。一方、日本向けは、21万7494トン(同7.4%減)とかなりの程度減少した。
 なお、韓国への牛肉輸出量は、10月17日時点で、豪州と韓国間の自由貿易協定に基づくセーフガードの発動基準である17万673トンに達したためセーフガード(SG)が発動した。税率は、現在の24%からSG発動後は30%となり、この税率は2019年12月末まで適用されることとなる。

生体牛輸出は、大幅に増加
 ABSによると、2019年1〜8月の生体牛輸出頭数は、83万5474頭(前年同期比20.3%増)と、干ばつによる早期出荷などにより大幅に増加した(表6)。
 

 
 主要輸出先別にみると、最大の輸出先国であるインドネシア向けは、44万8630頭(同21.5%増)と大幅に増加した。豪州およびインドネシア政府は、2019年3月に包括的経済連携協定(IA-CEPA)に署名しており、これが批准されれば、生体牛輸出(現行関税率:5%)に関して、無税の関税枠が、初年度は57万5000頭に設定され、2年目以降は4%ずつ拡大し、5年間で70万頭まで拡大することから、さらなる同国向けの輸出の増加が期待されている。2番目のベトナム向けも、16万8945頭(同26.2%増)と大幅に増加した。中国向けも、8万8091頭(同17.2%増)と大幅に増加している。特に、乳用牛については、8月時点で前年(2018年1月~12月)の合計頭数(5万354頭)を上回っており、大幅な増加となっている。 なお、同国向けは、2015年以前は、乳用牛が中心であったが、近年はと畜場直行牛が増加し、肉用牛数も増えており、2017年、2018年は、肉用牛の方が乳用牛より多かった。
 
(調査情報部 菅原 由貴)