9月の生乳生産量、前年同月比0.7%減
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2019/20年度(6月〜翌5月)9月の生乳生産量は、264万4000トン(前年同月比0.7%減)とわずかに減少した(図15)。本格的な搾乳シーズンに入った9月の生乳生産量は、今年度初めて前年同月を下回ったが、6〜9月までの生乳生産量は前年同期比0.7%増とわずかに上回っている。牧草の生育状況は平年並みで問題なく、それを反映した春季の生乳生産が見込まれている。
9月の脱脂粉乳、全粉乳の輸出量、前年同月を大幅に上回る
ニュージーランド統計局(NZ統計局)によると、2019年9月の乳製品主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった(表19、図16)。
全粉乳については、前年同月比44.8%増の7万7903トンと前年同月を大幅に上回った。これは、全体の約3分の1を占める中国への輸出が同121.1%増と2倍以上に増加したためである。最近の輸出量は、2018年12月以降、2019年7月を除き前年同月を上回っている。
脱脂粉乳は、前年同月比17.0%増の1万5481トンと3カ月連続で大幅に増加した。最近の輸出量は、2019年4月以降6カ月連続で前年同月を上回っている。
また、チーズは、中国、日本向け等が増加し、前年同月比26.3%増の2万503トンと大幅に増加した。2019年7〜9月では、中国、日本向けが増加しているものの、前年同期をわずかに下回っている。
一方、バター類は、前年同月比0.9%減の2万2665トンと2019年3月以降7ヵ月連続で前年同月を下回った。2019/20年7〜9月では、前年同期比25.1%減の7万2925トンと大幅に減少している。特に中国向けは、同54.1%減と半分以下の水準となっている。
乳製品国際価格、脱脂粉乳は引き続き上昇
2019年10月15日に開催された、乳製品の国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表20、図17)。前回開催(10月1日)時と比較すると、主要4品目のうち脱脂粉乳は前回の価格を上回る一方、全粉乳、バターおよびチーズは下回った。
全粉乳価格については、7月以降小幅な変動で推移しており、前回比0.3%安の1トン当たり3133米ドル(34万5000円)とわずかに下落した。最近の価格水準は、2019年2月以降、7月の1回を除き3000米ドル台を維持している。
脱脂粉乳は、前回比2.6%高の2743米ドル(30万2000円)とわずかに上昇し、4回連続で上昇した。今回の価格は、2015年3月以来の高水準となる。これは、中国など北部アジアからの強い需要を反映しているとみられる。
バターは、2019年8月まで下落傾向で推移したが、わずかに戻したのち、今回は前回比0.5%安の4105米ドル(45万2000円)となった。
また、チーズは、2019年7月以降3800米ドル台で安定して推移していたが、今回は前回比2.2%安の3636米ドル(40万円)と2回続けて下落した。
(調査情報部 井田 俊二)