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新年のごあいさつ 畜産の情報 2020年1月号

新年のごあいさつ

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独立行政法人農畜産業振興機構 理事長 佐藤 一雄
 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
 alicの業務につきまして、旧年中は皆さまのご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。 
 昨年の皇位継承に伴い、祝賀ムードの中で一連の式典が執り行われ、新たな令和の時代の幕開けを迎えました。また、日本で開催されたラグビーワールドカップにおける日本代表チームの目覚ましい活躍は、日本中を沸かせたところです。
 一方で、夏から秋にかけては、九州地方の集中豪雨、台風による河川の氾濫・決壊など災害も続きました。これらにより、多数の方々が被災されたほか、農作物や家畜、農畜産業の関連施設にも多大な被害が発生しました。被害に遭われた皆さまに、心からお見舞い申し上げます。
 さて、わが国の農畜産業をめぐっては、平成30年12月の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)」の発効に続き、「日EU経済連携協定」が昨年2月1日に発効したほか、「日米貿易協定」が本年1月1日に発効することとなりました。
 こうした新たな国際環境の下で、alicは、法律に基づく加工原料乳生産者補給金制度、肉用子牛生産者補給金制度や肉用牛肥育経営安定交付金(牛マルキン)・肉豚経営安定交付金(豚マルキン)などの経営安定対策の着実な執行など、さらにその業務の重要性が高まっております。
 加えて、伝染力の強い家畜疾病であるCSF(豚コレラ)や度重なる自然災害の発生などにより、農畜産業の生産現場にも大きな影響がもたらされ、社会的にも重大な関心事となっています。
 alicとしては、CSF対策として野生イノシシに対する経口ワクチンの散布等への支援などを行うとともに、被災した畜産農家の経営の継続を図るため、牛マルキンおよび豚マルキンの負担金の納付期限の延長のほか、損壊した畜舎や飼養管理機器などの補改修の取り組みや停電時の発電機の借上げなどを支援する緊急対策を実施しているところです。
 こうした情勢に即対応した緊急対策を迅速かつ的確に講じることもalicの重要な使命の一つであり、今後とも全力を挙げて遂行してまいる考えです。
 肉用牛生産においては、全国の繁殖雌牛の飼養頭数が4年連続で増加しており、また、酪農分野においても、乳用牛飼養頭数が昨年に引き続き増加するなど、生産量には回復の兆しが見え始めております。担い手の高齢化や後継者不足、労働負担の軽減といった課題にも取り組みながら、alicは、畜産・酪農の生産基盤を確固たるものとするため、生産者の皆さまの意見などに傾聴しながら、農林水産省と一体となって、諸情勢の変化に対応した畜産振興事業を適切に実施してまいります。
 また、alicは引き続き、国家貿易機関としての乳製品の輸入・売渡業務の適切な運用を通じた脱脂粉乳・バターの需給安定に努めてまいります。
 さらに、alicでは国内外の農畜産物に関する情報の収集・提供を行っていますが、畜産をめぐる環境が大きく変化する中、その重要性は一層高まるものと考えています。畜産物価格の決定過程でも議論となった、コスト上昇への対応や生産基盤の強化といった課題も念頭に、国内情報では、畜産経営における生産性や付加価値の向上などを通じた競争力の強化に資する課題や優良事例などについて、海外情報では、畜産物の関係国における需給・価格や輸出余力、わが国の輸出可能性や輸出促進に関する先進事例などについて、情報収集、整理・分析を行い、関係者にタイムリーに提供することを通じ、わが国の畜産業を支援してまいります。
 その際、媒体として、本誌、ホームページおよび広報誌などの刊行物に加えてSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)も活用することにより、関連する情報を消費者の皆さまも含めて広く一般に発信し、農畜産物の生産・流通・消費についての理解の促進に寄与することとしております。
 alicはこれからも、生きていく上でなくてはならない大切な「食」を支えていくために、農畜産業および関連産業に携わる方々を支援し、消費者の皆さまに農畜産物が安定的に届けられるよう努めてまいりますので、引き続きご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 本年が皆さまにとって希望に満ちた明るい年となりますことをご祈念申し上げて、新年のあいさつといたします。