国内生産量は増加したものの、卸売価格は上昇
経済発展による生活水準の向上や、ASF(アフリカ豚コレラ)の影響で豚肉から牛肉などへ消費がシフトしたことから、牛肉需要は増加している。
中国国家統計局によると、2019年第1〜3四半期(1〜9月)の牛肉生産量は458万トンと、前年同期と比べて3.2%増加した。しかしながら、強い需要に供給が追い付かず、牛肉卸売価格は上昇傾向で推移しており、2019年11月は前年同月比22%高の1キログラム当たり67.5元(1073円:1元=15.9円)であった(図6)。
冷凍牛肉の輸入量は大幅に増加
国内生産では牛肉需要を満たすことはできないため、牛肉輸入は増加している。2019年1〜9月の冷凍牛肉輸入量は、前年同期比52.2%増の110万8000トンであった(表2)。
豪州からの牛肉輸入については、2019年8月17日に特別セーフガードが発動し、最恵国税率(12%もしくは25%)が課せられている
(注)が、発動後も輸入量は増加傾向で推移している(図7)。
注:詳細は海外情報「豪州牛肉に特別セーフガード発動(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002506.html)を参照されたい。
また、2019年はパナマやカザフスタンからの輸入が開始されており、表2や図7で「その他」に分類される新しい輸入先からの輸入量も増加傾向にある。現地報道によれば、他にも輸入解禁に向けた手続きが進められている国があることから、今後もこの傾向は続くと考えられる。
冷蔵牛肉の輸入量も大幅に増加
2019年1〜9月の冷蔵牛肉の輸入量は、前年同期比150.8%増の2万4470トンであった。取引があるすべての国からの輸入量が大幅に増加している(表3)。冷蔵牛肉は冷凍牛肉と比較して単価が高く、高級レストランに卸されているといわれている。このように単価の高い牛肉の需要も拡大を続けていることがわかる。
(調査情報部 寺西 梨衣)