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海外の需給動向【鶏肉/ブラジル】  畜産の情報 2020年1月号

輸出量、1〜10月は前年割れも中国向けは依然として堅調

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輸出は中国向けが堅調に推移
 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、輸出環境はレアル安が続いていることから整っているものの、2019年1〜10月の冷蔵・冷凍鶏肉輸出量は、前年同期比0.5%減の318万2221トン(製品重量ベース)となった(表6、図10)。
 
 

  国別に見ると、南アフリカ共和国や香港向けがそれぞれ同22.4%減、同13.9%減と減少しているものの、中国向けはASF(アフリカ豚コレラ)による代替需要の増加を背景に同23.0%増の44万8772トンと大幅な増加が続いている。

中国が鶏肉輸出施設を新たに3カ所認定
 こうした中、ブラジル政府は11月12日、中国向け鶏肉輸出施設が新たに3カ所認定されたことを発表した。中国向け輸出が前年を大幅に上回って推移しているが、さらに供給体制が整うことになる。今回の認定を受け、ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)のフランシスコ・トゥーラ会長は、「ブラジルは中国にとって重要な鶏肉供給国となり、食料安全保障や貿易拡大の観点において良いパートナーシップを構築できている」とのコメントを発表している。

生産コストは高止まって推移
 ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)養鶏・養豚センター(CIAS)によると、最大生産州であるパラナ州におけるブロイラー生産コスト指数は、2018年4月以降、200ポイントを超えて推移している(図11)。生産コストのうち、飼料コストが約7割を占めているため、これが生産コストに大きく影響する。飼料の主原料となるトウモロコシは豊作が続いているものの、堅調な輸出や国内需要の高まりにより国内相場は高値が続いており、これが生産コストの高止まりを招いているものとみられる(図12)。
 
 
 
鶏肉卸売価格は過去最高を更新
 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、鶏肉卸売価格は、2018年から上昇基調で推移している(図13)。この背景として、ブロイラーの生産コストが高止まりしていることに加え、国内における堅調な需要や中国からの旺盛な需要により引き合いが強まっていることなどが考えられる。11月19日には、1キログラム当たり5レアルの大台を超え、12月4日には過去最高となる同5.4レアル(141円:1レアル=26円)となった。
 
 
(調査情報部 山口 真功)