10月の生乳生産量、2カ月連続で前年同月を下回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2019/20年度(6月〜翌5月)10月の生乳生産量は、321万3000トン(前年同月比2.6%減)と2カ月連続で前年同月を下回った(図22)。これは、前年同月の生乳生産量が記録的に多かったことのほか、10月終盤に低温となったためとみられている。2019年6月〜10月の生乳生産量は、前年同期比0.7%減と前年同期を下回った。
10月のバター類の輸出量、中国向けは14カ月ぶりに前年同月比を上回る
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2019年10月の乳製品主要4品目の輸出量は、全粉乳、バター類およびチーズが前年同月を上回る一方、脱脂粉乳は下回った(表8、図23)。
全粉乳については、前年同月比25.9%増の13万3315トンと2カ月連続で前年同月を大幅に上回った。これは、最大の輸出先である中国向けが同79.2%増と3カ月連続で前年同月を大幅に上回ったためで、2019年7〜10月の同国向けシェアは42.9%と上昇した。最近の輸出量は、2018年12月以降、2019年7月を除き前年同月を上回っている。
バター類は、前年同月割れが続いていたが、前年同月比9.6%増の4万686トンと2019年2月以来8カ月ぶりに前年同月を上回った。中国、エジプト、サウジアラビアなど向けが前年同月を上回り、特に中国向けは、2018年8月以来14カ月ぶりに前年同月を上回った。
また、チーズは、中国、豪州向けなどが増加し、前年同月比17.3%増の2万8464トンと2カ月連続で前年同月を上回った。
一方、脱脂粉乳は、前年同月比9.3%減の2万9344トンと2019年3月以来7カ月ぶりに前年同月を下回った。
乳製品国際価格、粉乳の上昇続く
2019年11月19日に開催された、乳製品の国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表9、図24)。前回開催(11月5日)時と比較すると、主要4品目のうち脱脂粉乳、全粉乳およびチーズは前回の価格を上回る一方、バターは下回った。
脱脂粉乳については、前回比3.2%高の3017米ドル(33万5000円)と6回連続で上昇し、3000ドル台に乗せた。今回の価格は、2014年8月以来の高水準となる。これらの結果は、北半球の生産量が季節的に少ないこと、南半球の供給量が引き続き少なく、NZも前年の供給量を下回り始めたためとみられる。
全粉乳価格は、7月以降小幅な変動で推移したが、前回比2.1%高の1トン当たり3321米ドル(36万9000円)と2回連続で上昇した。最近の価格水準は、2019年2月以降、7月の1回を除き3000米ドル台を維持しているが、今回、2016年12月以来の高値となった。
バターは、2019年8月まで下落傾向で推移したが、その後は4000〜4100米ドル台で推移し、今回は前回比1.4%安の4061米ドル(45万1000円)となった。
また、チーズは、2019年7月以降3800米ドル台で安定して推移していたが、3回連続で下落後、今回は前回比2.5%高の3701米ドル(41万1000円)と上昇した。
(調査情報部 井田 俊二)