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国内の需給動向【平成30年度の畜産物生産費】 畜産の情報 2020年2月号

平成30年度の畜産物生産費

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 農林水産省は、令和元年12月6日、「畜産物生産費統計(平成30年度)」を公表した。品目ごとの内容は以下の通りである。

肉用牛生産費、もと畜費増などにより、全品種で増加
1.去勢若齢肥育牛
 肥育経営における去勢若齢肥育牛の1頭当たり資本利子・地代全額算入生産費(以下「全算入生産費」という)は、138万9314円(前年度比10.8%増)となった(表4、図17)。費目別に見ると、費用合計の6割以上を占めるもと畜費は、89万4275円(同14.5%増)と前年をかなり大きく上回り、約2割を占める飼料費は31万9345円(同4.2%増)と前年をやや上回った。
 
 
 
2.乳用雄肥育牛
 乳用雄肥育牛の1頭当たり全算入生産費は、53万3596円(同0.4%増)となった。費目別に見ると、費用合計の4割以上を占めるもと畜費は、24万4943円(同0.6%減)と前年をわずかに下回り、約4割を占める飼料費は22万3292円(同0.7%増)と前年をわずかに上回った。
3.交雑種肥育牛
 交雑種の1頭当たり全算入生産費は、82万9119円(同1.3%増)となった。費目別に見ると、費用合計の約5割を占めるもと畜費は、43万702円(同3.4%増)と前年をやや上回り、約3割以上を占める飼料費は29万8560円(同0.1%増)と前年同月並みとなった。
 費用合計の6〜4割を占めるもと畜費は、導入時における肉用子牛の生産頭数の減少などにより、もと畜費が上昇していたことから、肉専用種(去勢若齢)および交雑種で増加した。また、費用合計の2〜4割を占める飼料費は、原料作物の国際相場や海上運賃の上昇などを背景とした飼料価格の上昇により、すべての品種で増加した。この結果、全算入生産費は、全品種ともに8年連続での増加となった。
 各品種の販売時生体重を見ると、去勢若齢肥育牛は794.9キログラム(同1.6%増)、乳用雄肥育牛は779.7キログラム(同0.5%増)、交雑種肥育牛は824.7キログラム(同0.2%減)となった。これらを平成21年度と比較すると、肥育期間が同水準である中、販売時生体重は、去勢若齢肥育牛では44.7キログラム増、乳用雄肥育牛では22.2キログラム増、交雑種肥育牛では71.3キログラム増と、すべての品種で増加しており、特に交雑種肥育牛は1割近く増加している(図18)。これらの背景には、肥育技術の向上や、増体能力を有する血統の採用などがあるとみられる。
 
 
肥育豚生産費、労働費の増加を背景に増加
 肥育豚の全算入生産費は、労働費の増加などを背景に、3万2943円(前年度比0.6%増)と8年連続で増加した(表5、図19)。費用合計の約6割を占める飼料費は2万451円(同0.4%減)と前年度をわずかに下回った一方、1割以上を占める労働費は、4610円(同8.1%増)と前年をかなりの程度上回った。
 
 

 肥育豚1頭当たりの販売価格は、3万5983円(同8.6%減)と前年度をかなりの程度下回った。下落要因としては、子取り用めす豚の増加による生産基盤の強化で、年度後半に生産が増加したことなどにより、卸売価格が下落傾向で推移したことなどが挙げられる。
 
(畜産振興部 岩井 椿)
牛乳生産費は前年度比3.4%増加
 全国の搾乳牛1頭当たりの全算入生産費は、78万2435円(前年度比3.4%増)とやや増加した(表6、図20)。地域別に見ると、北海道は初妊牛価格が高値で推移したことにより乳牛償却費が18万1644円(同18.2%増)と大幅に増加したことや流通飼料費の増加などから72万3629円(同6.9%増)と増加した。一方、都府県については、北海道同様、乳牛償却費などは増加したが、家族経営の多い都府県では労賃単価の上昇の影響が少なく、労働費が減少したことなどから、85万6426円(同0.1%増)とわずかな増加にとどまった。
 なお、1頭当たりの労働時間は、飼料の給与や給水に伴う労働時間の短縮などから、北海道、都府県ともに減少し、全国平均では101.5時間(同2.4%減)となっている。
 
 
  
 
(酪農乳業部 廣田 李花子)